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最近読んだ海外小説を続々と:東山彰良「流」&西村京太郎





ここ最近読んで来た小説について、ひと口コメントと私の独断と好みによる9段階評価。ネタばれ少々あり。
評価は「上」「中」「下」の3柱にそれぞれ「上・中・下」を設けた9段階評価。「上の下」「下の中」など。

●海外のミステリー&SF

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ロバート・ネイサン「ジェニーの肖像」…上の中
SFもの。タイプスリップの変形とでも言おうか。貧しい青年画家の前に現れた少女。二人の時を超えた淡い恋愛。一度若い頃に読み、何とも言えないしみじとした味わいがありました。今回も同じく。生き残る小説にはそれなりの理由があると。

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デイヴィッド・トーマス「彼が彼女になったわけ」…上の下
SFもの。映画「同級生」やテレビドラマにもなった「パパとムスメの7日間」など、男女が入れ替わる、親子が入れ替わる物語はいくらでもありますが、この小説では、何と!、患者の取り違えで性転換手術をされてしまった青年の悲喜劇。青年のガールフレンドとのドタバタ等、痛快です。イギリス人作家ならではのユーモアもあり、なかなか面白かった。

フレッド・カサック「殺人交叉点」…トリックが早々に分かると下の上・分からずに騙された場合は上の下か。
犯人探しの普通のミステリー。ミステリーと言うと、質量ともにイギリスやアメリカかと思うけど、フランスもなかなか健闘?していますよね。密室ものならガストン・ルルー「黄色い部屋」が最高傑作でしょ。糸だの紐だのバネだのと、小細工を弄した密室はリアリティが無くてダメ。「殺人交叉点」について、どんなジャンルのミステリーかは伏せますね。一読の価値あり。


●ロシア文学

ツルゲーネフ「片恋」「父と子」…上の中。
ツルゲーネフは高校時代に「初恋」を読んだだけでした。で、この2作は共に名作と思います。同時代のドストエフスキーやトルストイの陰になって割りを食っているツルゲーネフですが、やはり、文豪の名にふさわしいと思います。保守的な考え方を持つ父と新しい思想に惹きつけられる子との間で繰り広げられる精神的戦い…普遍的なテーマですよね。私も父とはずっと不和でした。父は男尊女卑的な考え方が強く、私は猛烈に反発しました。

チェーホフ「短編集」(集英社)・「可愛い女」」「犬を連れた奥さん」のような有名な短編も入っている…中の上
チェーホフの戯曲はつまらないが短編は面白い。深みは無いけど、オチに味わいがある。そもそも、戯曲で表現し得る可能なことは、古代ギリシアの悲喜劇、シェイクスピア、そしてモリエールによって書き尽されてしまったと私は思っていますので。

で、「短編集」ですが、一作毎に訳者の沼野充義氏による詳しい解説があり、これがまた実に面白い。一例を挙げると、ヒロインの名前「ナジェージュダ」の愛称形は、ナージャ。もっと親密なのは、ナージェンカだと。で、和訳ではナージェンカを「ナッちゃん」としてみました、という説明があります。なるほど、とは思うけど、「ナッちゃん」は、ちょっとやり過ぎじゃない?


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ゴーリキー「母」…上の下
ロシア革命期を生きたゴーリキーならではの物語。下層階級に生きる慎ましくも信心深い母と革命家として生きる息子と。やがて、母は革命に目覚めて行く…このように書くと、如何にも紋切り型のクサイ小説と思われるかもしれません。そのような一面が無いわけではありませんが、この小説の魅力はこの時代のロシアの底辺をリアルに描いた点と、理想に燃える青年達の人間像にあります。私にはチェーホフよりゴーリキーの方が読み応えがありました。

ゴーリキーはフランスの文豪、ロマン・ロランと親しかった。お互い、良くも悪くも理想主義者な一面があり、「革命により平和を!」との意見で一致し、意気投合したようです。私達が生きる21世紀日本では、「現実が理性」と言わんばかりの人間が多いようです。「ハハハ!甘いな。君、現実はネ…」と、したり顔で語る者。理想を語る人間を「お花畑」と冷笑する者。こうした人間が優勢な時代のようです。彼等が全く間違いでは無いにしても、何か、そのような人間には…時として…大事なものをどこかに置き忘れたか、捨て去った人間の空虚さというか、ザラザラとした心象風景を嗅ぎ取ってしまいます。


●フランス文学

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エドゥアール・マネ作「ナナ」

ゾラ「居酒屋」「ナナ」…下の上。
今まで、ゾラの小説は読んでいませんでした。マネ(私の一番好きな西洋画家!)が新しくも大胆な絵を描き世間から袋叩きにあっていた時、彼を擁護し援護したのがゾラでした。こちらの論文は読んだことがあります。

で、2つの小説は名作との評判ですが、正直、退屈しました。最後まで読み通すのが苦痛でした。意地で読んだようなものだ。
それぞれ文庫本で700ページを超える長編なのですが、全般に渡って細かい筆致による描写が延々と続くのです。例えば、金物工場の建物から機械用具まで、ことさら詳しく描く。要するに、19世紀のルイ・ナポレオン帝政下のパリの労働者階級(居酒屋)の実態や、社交界とそこに出入りする高級娼婦(ナナ)の実態をリアルに、写実的に描いているのです。小説にリアリティは大切ですが、行き過ぎると砂を噛むような味気無さにも陥りかねない。

絵画の世界でも写実主義というのは退屈だ。もちろん、その精緻な技法には恐れ入りますし、写真も映像も無かった時代には一定の意義や役割があったとは分かる。ゾラはジャーナリストでしたので、ドキュメンタリータッチというかノンフィクション的に書きたかったのでしょう。それこそがリアリティであると。確かに、当時のパリの姿を知る、という点では面白いが。

ひょっとすると、私の読み方が悪いのかもしれません。あるいは、もう私には若い頃のような瑞々しい感受性が失われつつあるのかもしれません。そういう不安を覚えます。若い頃に読んでおけば良かったかも。しかし、ゾラの先輩のフローベールの「ボヴァリー夫人」「感情教育」などは私が中年女になってから読んで、面白かったけどなあ(^_^;)


モーパッサン「脂肪の塊」…上の中。
フローベールの弟子であり、ゾラの後輩になるモーパッサン。短編の名手との評判も。で、「脂肪の塊」は文庫本で100ページ程度の中編ですが、なかなか面白いです。読者に己の生き方を振り返らせる力もあります。また、人物設定の巧みさ、筆運びの上手さには舌を巻きます。傑作です。

モーパッサン「女の一生」…中の下。
こちらは400ページに及ぶ長編。期待して読んだら、少々期待外れでした。さほど裕福とは言えない貴族に生まれたお嬢様が、不幸な結婚をして…このようなストーリーは掃いて捨てる程ありますので新鮮味が無い。それでも何か深い思索が見られるのであればともかく、それも無いのですから面白くない。いくら筋書きが巧みで筆上手でも、必ずしも読み手に何かを訴え、深い感動を呼び起こすとは限らない…その典型的な例かもしれません。


直木賞受賞作:東山彰良「流」…中の上。
はぴらき様から推奨があったので中古本を買って読みました。
実は、私は「流」がミステリーとは知らずに、歴史ものくらいのイメージで読みました。何故かと言いますと、私の買った中古本には帯が無かった。後で知ったのですが、その帯に「青春ミステリー」と書かれていたんです。ミステリーと知って読むのと、歴史ものと思い込んで読むのとでは、違った鑑賞になるかもしれませんね。

第二次世界大戦~国民党と中国共産党の戦い~中国と台湾という歴史の流れに翻弄され、引き裂かれた中国人達の姿が丁寧に描かれています。その影響は孫の代にも及ぶ。前半は描写や説明が多く、重厚である半面、ストーリー展開がスローでちょっと焦れる。ところが、「あ、これはミステリーなんだ!」と気がつく頃になり、後半を過ぎるとまるで何かに急かされたようにテンポアップし、結末に至るのです。そのアンバランスが不自然で中途半端です。何もミステリー仕立てにする必然性は無かったのにと残念に思った。

しかしながら、戦後の戦争を知らない台湾の若者たちがどんなことを考えていたのか、祖父母や父母はどのように戦争の重荷を背負い、悩み、苦しんでいたのか等、教えられる点が多々ありました。このように日本のミステリーでは珍しいテーマも高い評価になったのかなあと思います。

ゴキブリ退治に悩んでいた台湾の人達が、日本で発明された「ゴキブリホイホイ」の威力に驚く個所があり笑えました。

一読の価値がある作品ですね。


●西村京太郎を侮るなかれ!
「D機関情報」「天使の傷痕」…上の中。
もちろん、侮っていたのは私です(^^ゞ。500点以上に及ぶ多作。つまりは、粗製乱造のミステリー作家なんだろうと、勝手に決め付けていました。それに、鉄道ものミステリーにはあまり興味もありませんでした。

ところが、人から勧められて講談社文庫の「D機関情報」を読み…言葉の矛盾をあえて辞さずに表現すると…軽い衝撃を受けました。アジア・太平洋戦争で日本の敗色が濃くなる中、ひとりの海軍将校が特命を受けて内密にスイスへと向かいます。スリルとサスペンスの面白さもありますが、人間描写といいますか、人間が良く描かれている。人物造形が確かなので読んでいて強い感銘を受けます。読後にも充実感があるのです。松本清張に勝るとも劣らぬ社会派ミステリーですよ。いやあ、食わず嫌いはダメですね。

さっそく、次に「天使の傷痕」を読みました。これは殺人事件を扱ったオーソドックスなミステリーでした。密室ものであれ、アリバイ崩しであれ、一人二役&入れ替わりものであれ、いくらトリックが巧妙であっても、犯人の殺人動機に必然性やリアリティが無ければドッチラケです。横溝 正史のミステリーはそんな感じです。小中学生には良いかも。で、「天使の傷痕」ではそれが実にリアルに、深く描かれています。社会批判もある。見事なものだ。

西村京太郎はストーリー運び、筆運びが上手い。描写も過不足無く簡潔でテンポが良く、ダレる所がありません。しかも、人間がしっかりと描けているので安っぽさを感じさせません。もちろん、私が読んだのは初期の頃の作品です。作家により、徐々に作品の質が落ちて行く場合もあれば、その逆もありますから、最近の作品がどうなのかは分かりません。

で、今は「終着駅殺人事件」を読んでいます。上野のターミナルが主要な舞台のようですが、快調だ。この先が楽しみ。




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こんな腐れ東京五輪は止めるべし!日本の恥





①東京五輪の旧エンブレム撤回に関連して、審査過程で不正があったとか。
②財源不足につき、ラグビーくじの創設を検討するとか。

と、呆れるばかりの報道が続いた中で、ダメ押しとも言える報道が。

③東京五輪運営費が当初の見込みの6倍、1兆8000億円に及ぶとの見積もりが。

まあ、茶番ですね。こんなこと、最初から分かっていたんでしょう。

いきなり、1兆8000億!なんて聞いたら、国民の多くが東京五輪に反対したかもしれませんしね。

だから私は最初から言っているのだ。

こんな腐れ東京五輪なんか止めてしまえ!とね。

しかし、ここまで来ると、怒りを通り越しますね。

「2020東京五輪は神宮の国立競技場を改築するがほとんど40年前の五輪施設をそのまま使うので世界一カネのかからない五輪なのです」、と豪語した猪瀬元都知事の責任は?


③の報道には、山口百恵の「横須賀ストーリー」の有名な歌詞を思い出します。

これっきりこれっきり もう これっきりですか~♪

山口百恵「横須賀ストーリー」の動画→ここです

山口百恵のように、うつろな表情で歌うしかありません。空しいね。

エンディングの歌詞は、「ここは横須賀」ではなく、「ここは西新宿&永田町」です。


次は、童謡の「汽車ぽっぽ」の替え歌を。

予算 予算 もっと もっと

もっと もっと 持ってって

国民騙し もっと もっと 持ってって

愉快だ 愉快だ ゼニ儲け~

税金じゃぶじゃぶ 注ぎましょ~

隠せ 隠せ 隠せ~

談合だ 収賄だ

うれしいな~♪





2015年度フィギュアスケート・グランプリファイナル(完)





観客の過半数は日本人じゃないですか?まさに、日本のフィギュア熱は「クレイジー」です。リンクボードには日本語の広告板が並び、観客は日本人が目立ち…一瞬、ここは日本か?と錯覚するほど。

●男子シングル・SP

村上君。
2シーズン前までは、彼がファイナルに進出するほどのトップスケーターになると誰が予想したでしょうか?町田君以上の遅咲きのスケーターと言えましょうか。良くも悪くも町田君のような「アクの強さ」が無い代わりに、滑らかで柔らかいスケーティングが光ります。本の地道な努力とは別に、キャロルコーチの指導も優れているんでしょうね。

今回のSPではステップシークエンスの動きが素晴らしかったように見えました。ダイナミックな動きや上半身の大きな使い方が一段と進化したように見えます。男子スケーターとしては小柄なので、こういう動きは女子の宮原選手のケースと同様、絶対に必要なんでしょうね。演技構成点の評価がどんどん上がっています。8点台が並ぶようになった(*^_^*)

単独の4回転サルコウはGOEが-2~+2と、ジャッジの評価が大きく分かれています。
「ステップから直ちに跳ぶ」という規定ですが、問題は、
①「直ちに」とは、どれくらいの目安なのか?
②「ステップ」と認められる範囲は?

の基準がどうなのか、です。

①は最後のステップからジャンプを踏み切るまでの所要時間を計っても仕方ない感じもしますので、あくまでジャッジの感覚に任せるしかないのでしょうね。

②ですが、ジャンプの踏み切の際には前滑りから後ろ滑りに(アクセルの場合は逆)向きを変える為にモホークやスリーターンをする場合が多いようですが、これは「ステップから直ちに」の意味でのステップとは見なされ無いですね。つまり、これは「ステップ」をしたのではなく、「踏み切動作」と見なすようです。←元スケーターのうるとらにゃん先生の説明にあったと記憶。

また、ステップと認められる範囲ですが、フォアクロス・バッククロス、チェンジエッジもステップに含まれるのでしょうか?うるとらにゃん先生の説明によると、含まれるようですね。

村上君の4S前の助走に注目→SP動画:https://www.youtube.com/watch?v=-gz58EYTFmo

4Sを踏み切る直前にスリーターンをしていますが、これは「踏み切動作」であり「ステップ」とは見なされないでしょう。動画の53秒目、スリーターンの前に、後滑りから前滑りに向きを変えます。右足バックアウトサイドからフォアインサイドに変わっているようですので、これもスリーターンでしょうね。このスリーターンだけがステップのようですが、-2を付けたジャッジの見解は、これだけではステップとしては不十分ということなのだろうか?

村上君は4Sはかなり安定していますので、もう少しステップに工夫が出来ると思うのですが。。。

パトリック。
嗚呼ッ、4Tが単独3Tになってしまった。その後の後半のジャンプで3Lz-3Tを跳んでしまいました!(T_T)。奇しくも羽生君がカナダ大会で犯したミスと同じことをやってしまいましたね。羽生君の場合は2Tでしたが。パトリックと羽生君はどこまでも「縁」があるようですね^_^;。パトリックがキャメルスピンでミスるなんて、信じられません。弘法も筆の誤りか。原因がはっきりしているせよ、最下位スタートは世界選手権3連覇した王者にとっては屈辱的。あんなに強張った表情のパトリックを見るのは初めてです。今季は、3Aより4Tの方が不安定になっている!珍しいな。

パトリックや真央さん程の名スケーターでも、やはり、丸1年間試合から遠ざかり、そこから復帰してソチ五輪並みの調子に戻すのは大変なんだなあと感じました。

ジン君。
やはり、緊張していましたか。NHK杯と比べ、演技が少し硬かったように見えました。

宇野君。
このところ、4Tがちょっと不安定ですよね。。それ以外は素晴らしいです。見かけよりパワーがありますね。ノーミスなら90点半ばまで伸びる内容になっています!凄いです。

羽生君。
えーと。演技構成点でこんなに10.00が並ぶのはソチ五輪のアイスダンスのメリチャリ以来ですね。GOEに至っては、63個の評価の中、+3が49個もある。後は全て+2。+1が無い。すっげーッ。どんだけ~?

羽生君のジャンプはどれも美しい。解説の織田君も佐野さんも「美しい!」と感嘆す。単にジャンプだけが美しいのではなく、ジャンプの前後の繋ぎとの「セット」が絶妙な為、より一層美しくなるのだと思います。理に適った動きは美しいのです。

美しさと高評価が一致するのがフィギュアスケートの真髄と私は思います。ね?ジャンプにタノなんか要らないよ。タノを入れると美しくなくなる。ロシアの指導者さん。羽生君がタノを入れるのはコンボのセカンドが2Tの場合のみ。しかも、両手だ。

フェルナンデス君。
羽生君の110点演技の大興奮の後では、しかも、地元の大声援の中では、やり難かったでしょうね。現世界王者という立場もあるし。しかし、マラゲーニャは素晴らしいプログラムです。彼にしか出来ない振付!ステップシークエンスはどのトップスケーターと比べても最良の出来と思います。何度でも見たくなるステップです。ジャンプ構成は…クワド2本にはしなかったのね。それでも、ノーミスであれば100.00点に到達する内容ですね。


●女子シングル・SP

女子も織田君が解説かよ。。。荒川さんや鈴木さんはどうしたの?

まだSPが終わった段階ですが、1位・2位がロシア勢、3位・4位が日本勢、5位・6位がアメリカ勢。これって、今の女子フィギュアの力関係、勢力図を示しているような序列です。

演技構成点5項目の平均評価が6選手全員が8.00点台以上。すなわち、合計点が32.00点以上が並びました。昨シーズンは全員が8.00台未満の32.00点未満だったのに。昨シーズンも出場したラジオノワさんもワグナーさんも共に評価がアップしています。これは選手のレベルが上がった結果なのでしょうか?それとも、評価の出し方が知らず知らず甘くなったのでしょうか?バンクーバー五輪前後の頃は、ショートプログラムの3つのジャンプで2つもミスして得点が60点台後半が出るなんて考えられないことだったと思います。主な原因は、演技構成点とGOEの評価が高く出るようになったからです。後半ジャンプが基礎点の1.1倍されるようになりましたが、スパイラルシークエンスが無くなりましたので、プラスマイナスはほぼゼロとみなします。

真央さんも宮原さんも本郷さんも(日本人女子選手の多くがか?)キャメルスピンはあまり得手とは言えない様子。ロシアの選手はキャメルも上手いですね。フライングキャメルは基礎点3.20点で、フライングシットは3.00点と少し下がるので前者を選ぶのでしょうけど。真央さんはシットポジションが深く、脚も伸びて美しいのだからキャメルよりもGOEの加点が貰えそうだけどな。加点が貰えるエレメンツが増えると演技構成点にもプラス影響があるはず。検討の余地があると思うが。ダメかな。

ワグナーさん。
エレメンツとエレメンツの間の繋ぎが濃いプログラムですね。この辺りも演技構成点の評価を上げている理由かも。ジャンプでミスがあっても演技の流れが損なわれることが無いのは、ワグナーさんの優れた演技力によるもの。

ラジオノワさん。
冒頭の3Lz-3Tが単独3Lzになっても、後半の3Loに3Tを付けて成功させてしまう能力には恐れ入ってしまいます。しかし、プログラム全体はあまり印象に残らないなあ。どうしてかな?あまりに上手く演じ切ってしまうからでしょうか?

真央さん。
3Aはこれまで6回跳んで4回成功。成功率67%は驚異的。過去の3Aと比べ、高さ、回転の速さ、軸の安定が誰にでも判るくらい進化しています。3F-3Loの両方が回転不足で3Lzは1回転でノーカウント。これでも69点台が出るとは…3Aとステップシークエンスと演技構成点でガッポリ得点を稼いだ結果です。NHK杯の時より動きは良かったみたいね。

真央さんのSPのジャンプ構成は、3Aも3F-3Loも3Lzも、どれもが危ないものばかりで安心して見ていられるものが一つも無いという点で極めて異常です。これで試合に臨む選手は他にいないでしょう。ガハハですw(゚o゚)w

「素敵なあなた」は、緩急のあるプログラムという点で素晴らしいと思います。タラソワさんのプログラムは内容が濃くて素晴らしいのですが、「仮面舞踏会」がその典型であるように、「詰め込み過ぎ?」が原因なのか緩急も無ければ遊びも無いので、「観客との一体感を生む」という点でどうなの?との不満がありました。

松岡さんのインタビューの中で真央さんは、「ローリー・ニコルは私のベストコレオグラファーです」と答えていました。松岡さんには「では、タラソワさんは?」と聞いて欲しかったけどねえ。私の想像ですが、真央さんにとってタラソワさんは単にコレオグラファーというよりもコーチ・指導者という位置付けがあるのかもしれません。

宮原さん。
スペインでフラメンコを演じて観客(って半分以上は日本人でしょうが)の心をわしづかみにしました。ジャンプ以外はNHK杯よりも良かったように見えましたが、3Fで「e」を取られガボッと減点されちゃいました。しかし、3Fが「!」なら70点越えが見えて来たのですから、期待が増したと思いましょう。

メドベデワさん。
笑顔がとても可愛いです。ただ可愛いだけではなく、考え方も16才にしては大人のようです、Jスポのインタビューの中で、「理想の選手は)誰かを選ぶことはできません。どの選手にも長所と短所がありますし、それぞれに素晴らしい選手です。」と答えていました。実にごもっとも。ご立派!!

で、演技の方もご立派!!私は彼女のジャンプはイマイチ好きになれませんが、他は絶賛するしかありません。ステップシークエンスでの足さばきも見事ですが、上半身、腕の使い方も上手いですよね。しかも、パワーがある!ジャンプもパワーで跳んでる感じがします。あの細い身体のどこにパワーがあるのか!?謎です。身体はジュニアっぽくても演技はちっともジュニアっぽく無いです。プログラムの中間部に3つのジャンプをかため打ちする構成もユニークだ。

ゴールドさん。
ジャンプが。。。あ~あッ、やっちゃった(ノ_<)
まつ毛と眉のメイクは…美的センスがセンス過ぎ。濃過ぎ。やり過ぎでしょ?そこまでしなくても十分な美貌でしょ。

彼女のステップシークエンスは…今回初めて気が付いたのですが…左足ターンも右足ターンも同じくらい上手く、見せ方も上手いと思いました。優雅さよりも華麗さと力強さが光るステップシークエンスは真央さんのステップに劣らぬ魅力があります。


●ジュニア女子

ロシア娘の表彰台独占を本田さんが阻止!やれやれだな(^_^;)
本田さん3位表彰台、おめでとうございます。白岩さんも頑張ったし、膝や腰の故障が完治しない中で三原さんも良い演技を見せてくれました(*^_^*)

本田さんはスパイラルからの3lzが跳べる状態なのに、どうしてSPで跳ばないのか?3Lz-3Tのコンボにするのが苦手なのでしょうか?3Lzが「単独ジャンプ指名」だったら跳ぶんでしょうね。

本田さんは「表現」という点でもロシアの早熟娘におさおさ劣らない資質と華がありますね。

それにしても…ロシアの3選手と日本人の3選手は…まるで大人と子供が同じ土俵で競っているみたいです。一瞬、シニアとノービスの選手が混ざっている大会かと(・。・;。

白岩さんはジャンプの軸を作るのがとても上手いですね。頭から足までまっすぐな軸が出来てクルクルっと鋭く回転します。独楽のように。独楽が速く回転している時、独楽は地に垂直を保ちながら安定する。これを、「独楽が澄む」と言うそうです。白岩さんのジャンプはまさしくそんな感じがします。SPの単独3Fでは、「ステップから直ちに跳ぶ」を満たす為に、クルクルと連続の小回りターンをしてそのまま跳んでいます。まるで、「これならどうだ!減点出来ないでしょ!」と言っているかのような。

優勝したツルスカヤさん。大柄ですがジャンプにバネがあり高い高い!ソトニコワさんタイプかな?特に弱点が無さそうな「優れ者」ですが、唯一、ロシア娘には珍しくビールマンスピンの質がよくありません。

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2位のソツコワさん。

ソツコワさんのお顔は…独特な雰囲気があります。気が強そうで実は気弱そうでもあり、我がままキャラに見えて実は人に遠慮するキャラにも見えて、賢そうで天然でもあり、ツンとお澄まししているようで人懐こいようで。。。不思議な風貌。


●女子シングル・FS

ワグナーさん。
SPで大きく出遅れ、FSで猛烈に追い上げるパターンが「定着?」。それにしても素晴らしい演技でしたね。最初から最後までスピードに勢いがあったように見えました。演技構成点が8.00点台後半とエライ高く出ました。

ゴールドさん。
SPに続き、ジャンプに関して波に乗れなかったようでした。素人目ですが、彼女はパワーもスピードもある代わりに、足腰の「ねばり」が少し弱そうなタイプに見えます。膝が硬いのかな。ヒックスさんのように空中分解しそうなジャンプでも何とかランディングを決める「ねばり」が無いので、ジャンプを成功させる許容値がちょっと狭いのかなあと。決まればハイクオリティですが。

宮原さん。
NHK杯の演技に見られた細かいミスが無くなりましたね!修正能力が高いわ!まさに、「ため息」が出る演技でした。ファイナル初出場で2位は素晴らしいです。おめでとうございます。ノーミス演技には演技構成点も高く出るわ。

真央さん。
やっぱり疲れているんですよ。前日のSPの疲れも残っていたと思います。スピードが全然無かったもの。真央さんのメンタルを問題にするファンもいるようですが、安易にメンタルを語るのはどうかなあ。あるアスリートが言っていましたが、「体力イコール気力・集中力」だと。メンタルの弱いスケーターが3回も世界女王になれると思いますか?

ラジオノワさん。
身長が10センチ近く伸びても、これだけの見事な演技が出来るのは並大抵の才能ではない証し。しかし、SPでも触れたことですが、何故か演技に個性があまり感じられません。小柄な時代の可憐さが無くなったのは仕方ないのですが。。。プログラムや選曲に問題があるのかな。

メドベデワさん。
冒頭の振り付けで、両手の指をプニャプニャさせるのが不気味。それ以外はとても素敵と思います。どのエレメンツも完璧に近い上に、表現力も豊かなので、タノタノを除いて文句のつけようが無い演技と思います。スパイラルしながらスライドさせる技は真央さんがシニアデビューした時の「くるみ割り人形」で行っていましたね。

彼女こそ、ロシア女子の全盛期を象徴する存在と思います。そして、彼女の高得点の出かた…GOEの加点がたくさん付き、演技構成点は驚く程の高評価…もまた、現在の採点の傾向を象徴しているように思います。

メドベデワさんや宇野君、ジン君の事例により、演技構成点に関する「都市伝説」の一つはもはや崩壊しましたね。すなわち、「演技構成点には実績も加味される」とか、「演技構成点は格付けだ」が。


●男子シングル・FS

ハイレベルですよね。高橋大輔さんの有名なボヤキ、「男子は女子ほどには注目されないのが残念」は今や、日本では男女が逆転しつつありますね。もちろん大輔さんの力も大きかったのですよ。

パトリック。
悪夢のSPとはうって変わり、FSでは水を得た魚のような演技になるのはどうしてなの?摩訶不思議。ジャンプ構成はマックスでなくとも、高質でクリーンな演技はフィギュアスケートを見るファンの醍醐味です。「チャン選手は劣化した」なんて言わせませんよ!世界選手権の時には4Tは2つ跳べそうですね!

村上君。
う~ん。看板の4Sが2本共ミスしては苦しかったですね。でも、評価は着実に上がっています。まだまだこれから!

宇野君。
恐れ入りました。羽生君が凄まじいので「割りを食った?」形になっていますが、シニアデビューした宇野君の活躍だって特筆すべきことなのだ。女子のメドベデワさんと並ぶ驚異的な演技をしています!ファイナル初出場で3位は快挙!

ジン君。
完璧ではありませんでしたが、彼も宇野君に劣らぬ凄いことをやっています。演技後半にクワドを2本決められるって、これだけでも信じられないこと。演技構成点はしっかりと差をつけられましたが、ジン君の例は…彼には申し訳ないけど…演技構成点の何たるかを素人にも分かり易く教えていますね。

フェルナンデス君。
彼もついに「200点越え殿堂」の仲間入りです。それに値する素晴らしい演技内容。凄まじい勢いで3Aを跳んだ後すぐにパントマイム的な振り付に入る所は秀逸。若いと思っていたけど、彼はもう24才なんですね。いえ、若い!

羽生君。
ファイナル3連覇、おめでとうございます。
私の感想としてはNHK杯の方が良かったように見えますが、そんなことはどうでも良くなる神演技でした。これだけの内容のフリーもショートも2大会続けてノーミス演技とは驚異的。ふと思ったのですが、ソチ五輪でのフリーはミスが複数あり、タラソワさんのように酷評する人もいました。その悔しさもモチベーションになっているのかもしれない。

現行の採点制度の極限に迫る羽生君の演技。GOEもPCSも肥大化し、腹の皮が張り裂ける寸前まで来ました。ルールの大幅見直しは…いえ、GOEとPCSは手を付け難いと思います。アイスダンスやペアとも連動しますしね。




2015グランプリファイナル:予想




ファイナルともなりますと、勝敗や点数よりも、選ばれた男女各6人のトップスケーター達の高質な演技を見たい気持ちが強いです。それでも、遊びとして順位予想をするのも楽しいものです。


●男子予想

男子は羽生選手を中心に展開されることは間違いないでしょう。
羽生選手は少しのミスくらいでもトップに来る可能性が大きいと思います。ただし、ショートで4T-3Tをミスると大変なことになります。クワドに「絶対」は無く、ハイリスク・ハイリターンのクワド競争は1本のミスが命取りにもなる。また、NHK杯の興奮による疲労も出て来る可能性があります。練習期間が2週間足らずと短いですからね。

次に、グランプリシリーズ2大会の結果から、総合得点が270点越えしているのがチャン選手とフェルナンデス選手の二人だけですから、この両者が表彰台に上がる可能性が高いと思います。フェルナンデス選手の方が2種類のクワドを持つ分だけ有利と言えましょう。演技構成点ではさほど差がありませんし。しかし、地元開催が力になるか、プレッシャーとなるか、フェルナンデス選手のメンタル面がどうなるか注目です。ドキドキですね。

その次に、ボーヤン・ジン選手でしょうね。もしもフリーで2本の4ルッツを決められたら、手がつけられません。ただし、初めてのシニアグランプリファイナルというプレッシャーがあるかもしれません。

進化が著しい宇野選手と安定感ある村上選手にも、もちろん表彰台のチャンスはあります。それには、ショートプログラムでのミスは許されませんね。村上選手、4S、3A、3Lz-3Loが全て決まる演技を見たい。

1位:羽生君
2位:フェルナンデス君
3位:チャン君
4位:ジン君
5位:宇野君
6位:村上君


●女子予想

こちらはカオスです。誰にでも優勝のチャンスがありそうです。
過去2大会の中、高かった方の総合得点では、

ラジオノワ選手:211.32点
メドベデワ選手:206.76点
宮原選手:203.11点
ゴールド選手:202.80点
ワグナー選手:202.52点
浅田選手:197.48点

と、さほど大きな差はありません。

この中では唯一人2大会とも206点台を叩き出したメドベデワ選手に最も勢いを感じます。しかし、初めてのシニアグランプリファイナルのプレッシャーがどう影響するか。

次は、今季好調のゴールド選手と現時点での最高得点を出したラジオノワ選手でしょう。贔屓ですが、2010年のアリッサ・シズニーさん以来のアメリカ女子の優勝も見たい気がします。

そして、安定感抜群の宮原選手です。ショートで3Fの「!」を取られないこと、フリーでの小さなミスを減らすことが出来れば優勝の可能性も出て来そうです。

浅田選手とワグナー選手は共にジャンプの安定感にやや欠けます。ベテランの両選手共、NHK杯の疲労が残らなければ良いのですが。特に浅田選手は久しぶりに時差のある海外での国際大会。調整はどうなのか。浅田選手は…やはり…3Aがビシッと決まれば優勝ラインに近づくとは思います。

1位:メドベデワさん
2位:ゴールドさん
3位:ラジオノワさん
4位:宮原さん
5位:真央さん
6位:ワグナーさん

しかしながら、6位が1位、1位が6位になる可能性も十分にあります。

トップ6人のメンバーの中で、メドベデワ選手の演技構成点がどらくらい評価されるのか注目です。あくまで私の独断と偏見ですが、彼女の演技構成点が何故あそこまで高く評価されるのか不思議だからです。別に、ジャッジがどうのこうのという意味ではなく、ファイナルの演技と評価を見ることで理解が多少は深まるかもしれないと思うからです。


●女子ジュニアのファイナルが面白そうです。
ロシア3人、日本3人という激しい競争です。実力に大きな差はありません。
勝敗は二の次とはいっても、やはり、表彰台をロシアが独占なんて場面は見たくないです。

ポリーナ・ツルスカヤ(ロシア)
マリア・ソツコワ(ロシア)
白岩優奈(日本)
本田真凛(日本)
三原舞依(日本)
アリサ・フェディチキナ(ロシア)

この中では、ダイナミックな演技をするツルスカヤさんが総合力で半歩リードか。

日本女子では、ノーミスで終えれば本田さんが最も得点を伸ばす可能性があります。彼女はジャンプに少し安定を欠くのが気になります。安定感では白岩さんですが、演技構成点で少しハンデがあります。

ご存知かもしれませんが、「GUTSPOSE」というサイトでジュニア男女の生中継を見ることが出来るそうです。
サイトはここです

明日10日の夜遅くに男女ショートプログラムの中継が始まるようです。



お勧め本・「イルカ漁は残酷か」:愚見を少々




●伴野準一著「イルカ漁は残酷か」(平凡社新書)

だいぶ前になりますが、たまたまプロ野球ニュースを見たら、メジャーリーグで採用されたチャレンジ制が話題になっていました。アナウンサーは、「日本のプロ野球でもチャレンジ制の導入を検討したらどうでしょうか?」と、隣にいた元プロ野球選手に尋ねると、元プロ氏は、「まあ、日本のプロ野球にはそれなりの文化がありますので、そこは色々と…」と曖昧な答え方をしました。それにイラついたのかアナウンサーが再度尋ねると元プロ氏も再び「日本(のプロ野球)なりの文化がありますから…」と答えました。

私もイラつきました。「日本(のプロ野球)なりの文化って何ですか?」と、どうしてアナウンサーは突っ込んで尋ねないのか!。この元プロ氏の言う「文化」など、おそらく、何の中味も無い、防御的「はぐらかし」であろうと思います。彼にもし何か持論があれば、「日本のプロ野球の文化の何たるか」を語って欲しかったです。


キャロライン・ケネディ駐日米国大使がツイッターで「(和歌山県太地町で行われている)日本のイルカ追い込み漁は非人道的であり、米国政府は反対する」といった主旨の発信があったのを受けて、安倍首相が「この(追い込み式の)イルカ漁は日本の文化」を持ち出して「擁護した」とも受け取れる発言がありました。

そもそも、「文化」とは?最近は文化という言葉が乱用され、英語のカルチャーという言葉も定着し、文化の価値が下落している感じがあります。「芸術」や「アート」の乱用により、芸術の価値が下落しているのと同じ傾向がありそうです。

私の手元にある小学館の「新選・国語辞典」によると、文化とは、

①世の中がすすんで生活が高まる状態。文明開化。
②自然を材料として理想を実現していく人間の活動、また、それによってつくりあげられた結果。

とあります。
なんだか抽象的で分かったような分からないような定義ですが、キーワードとしては「すすんで生活が高まる」「理想の実現」にありそうですね。

愚見ですが、何かが文化として成立する為には、その何かが150年~200年以上の歴史の積み上げが必要かと。50年~100年くらいで「これが我が国の、我が地域の、我が集団の文化だ!」と言われても、少々心許ない。

以上を考慮に入れますと、日本のプロ野球(リーグ制)の歴史は80年程度。果たして文化と言える程の何かがあるか、怪しい感じがいたします。それどころか、アメリカのベースボールを取り入れた日本が、メジャーリーグから学ぼうともせず、「日本なりのプロ野球の文化があるのだ。」は少々傲慢であり、島国根性の現れではないか?

選手側に何の相談も連絡もせず、プロ野球機構側が勝手に公式球を変更(ホームランが出やすい球)するなど、「プロ野球文化が聞いて呆れる」例はいくらでも出て来ます。文化の定義にある「理想の実現」とは程遠い「活動」ですね。


和歌山県太地町のイルカ追い込み漁の歴史は1969年くらいから始まったとの説があります。果たして文化と言えるかどうか。しかしながら、今ではほとんど行われなくなった伊豆地方でのイルカ追い込み漁は、明治初期に本格化した記録があるそうです。こちらは文化と言えるかもしれません。

ここで私が言いたかったのは、「これは日本の文化だから」というフレーズがしばしば、欧米からの批判に対する応酬話法となっていること、ここにも排外的な島国根性を感じ取ることです。日本は欧米から誉められると有頂天になる傾向がありますが、逆に批判されると180度コロッと態度が変わり、愛国的激情が襲うのか、「欧米の優越主義、アメリカの覇権主義は許さじ!」と、「尊王攘夷派」に豹変する傾向があるようです。

しかし、環境問題、動物保護問題、人道的問題等はもっとグローバルに考える時代になっていると思います。「日本の文化なんだから~!」と反発する姿は、親からおもちゃを取り上げられる子供が駄々をこねているようにも見えます。

伴野準一著「イルカ漁は残酷か」(平凡社新書)は好著と思いました。イルカの追い込み漁の現実の姿、地元漁師たちの苦悩と本音、反対する欧米の運動家達の言い分や運動のやり方の問題点などに踏み込んでします。

一つだけポイントを「ネタばれ」します。著者の取材によると、反対派はイルカを殺すことが絶対にいけない!とは言っていない。追い込み漁におけるイルカの残酷な殺戮方法を止めて欲しい、と言っていると。

漁師の中には、「どうせ殺すんだから、残酷もヘチマもあるか!」という本音もあるようです。

「目的は方法を正当化する」という言葉があります。

正しい目的の為なら、純粋な動機によるものなら、どんな方法でも正当化される、くらいの意味でしょう。

しかし、21世紀の今は、方法も問題になる時代です。

死刑の方法がその典型です。「極悪非道の人間を処刑にするのに、残酷もヘチマもあるかよ!」は通用しません。

昔は八つ裂きとか、磔(はりつけ)等、死刑囚に多大な苦痛を与える死刑が行われました。フランス革命期には「残酷ではなく、苦痛も無い死刑」として、ギロチンが発明されました。

ところが、20世紀に入るとギロチンは残酷だ、との批判が強くなった。結局、死刑制度は廃止されました。

アメリカでは吊るし首、銃殺刑などがあったようですが、残酷との批判を受け、電気椅子に変わり、それもダメで、毒ガスに変わり、それもダメで、薬殺になり、それもダメで死刑制度が廃止された州が増えました。

死刑は残酷な方法を止めて人道的にやれ、となりました。この考え方は動物の殺し方にも広がっているようです。

イルカの追い込み漁について、「日本の文化だから尊重せよ」に理解を示した上で、グローバルな視点からも一度考える必要があるのではないか?と著者は訴えているようです。

追い込み漁におけるイルカの殺し方は残酷なようです。イルカも哺乳類ですし痛点はあります。イルカが血まみれになって死の苦痛にのたうち回る姿を見た人は、ショックを受け、目を覆うそうです。 「文化的」とは言えないかも。


☆今年6月頃、「尊王攘夷派」が、「ほれ、見たことか!」と言いたくなる報道があった。
…イギリスの大手紙ガーディアンは、日本のイルカ追い込み漁を批判する立場を示した。しかし同国では、残酷だとして2005年に禁止された猟犬とともにキツネを追い回すキツネ狩りが、先の選挙で擁護派が大勝したことで復活する見込みである。理由は「伝統文化の継承」だという。「イルカを追い込めば野蛮」でも「キツネを追い回すのは文化的」らしい…。

この記事を見て、「イルカ追い込み漁が残酷だとは、イギリスに言われたくない!」「欧米の身勝手な白人優越主義の現れだ!」とエキサイトする人は、「尊王攘夷度」が高いので少々頭を冷やす必要がありそうです。※

イギリス貴族の「伝統・文化」のスポーツハンティングですが、もはや内外の強い批判を受けて絶滅寸前になっていることを忘れてはいけません。また、キツネ狩りをしている人達がイルカ追い込み漁を残酷だと批判しているかどうかは不明なのです。

日本のイルカ追い込み漁を批判する欧米人は、自国や欧米、世界中の動物虐待や残酷な殺し方を批判しているのです。何も、日本だけをターゲットにしているわけではありません。


イギリス人の「優越主義」の例はあるようです。

登山家であり冒険家であった故植村直己の著作にある例です。エベレスト国際登山隊の一員として加わった植村直己や他国の登山家達が、まるでイギリス人登山家達の下僕のように下働きをさせられた内容が書かれていました。メンバーは対等であり、誰もがエベレスト登頂を果たしたいのにも関わらず、イギリス人登山家たちは自分達が真っ先に登頂するのが当然のような態度だったそうです。

植村直己は「良い人柄?」だったようで、自己中心的なイギリス人登山家達に腹を立てつつも、「彼等が一番熱心に取り組んで来たものだからやむを得ない面もあるか」と、理解も示していたようです。

イギリスは、山文学の古典「アルプス登攀記」を書いたウィンパーや、エベレスト初登頂を目指し遭難した有名な登山家マロリーを生んだ国なので、「俺達は高所登山のパイオニアである!」との誇りが強過ぎるのかもしれません。


☆地元ではイルカを食用にもしているそうですが、美味しいのかしらね?
一般的に、鯨類はナガスクジラのように大型ほど肉は美味しく、ミンククジラのような小型ほど美味しく無いと言われますので、イルカも美味しそうには見えませんね(^_^;)

☆日本のプロ野球において、文化とは誇れない例。
他の観客の迷惑を考えず、鳴り物入りで絶えず騒音をまき散らす応援のやり方…これは日本なりの文化という意見もあるでしょうけど…私は文化とは思えません。少なくとも、言葉の厳密な意味から「文化的」とはとても言えないのではないか。

観客が鳴り物入りで騒ぐ典型的な例にサッカーがあります。しかし、サッカーというのは20人の選手達が「常に」目まぐるしく動き回るスポーツですので、「騒音」はそれほど気にならないと思います。

しかし、野球は団体競技にしては選手達があまり動かない「静的」なスポーツです。それゆえ、「騒音」が耳障りなのだと思います。メジャーリーグの観客が概して静かであり、盛り上がる場面では「ワーッ!」となりますが、それは自然ですし、人の声だけですから耳障りとは感じないと思います。むしろ、投手の投げた球が捕手のミットに収まる時の「スパーン!」という音や、打者が球を打つ時の「スカーン!」という音が快く響きます。元巨人の桑田投手も、メジャーリーグに行って初めてそれらの音を耳にし感激したと語っていたことがあります。

メジャーリーグが日本に来て試合をする時、「本日は鳴り物入りは禁止」という例を見たことがあります。もしも、「鳴り物入りは日本の文化」との自信があるのなら、このような「自虐的?」な対応を取るべきじゃないでしょう。情けねぇ~。



プロフィール

片割月

Author:片割月
和歌を愛し、音楽を愛し、花を愛し、フィギュアスケートが大好きで、歴史・社会・文学が大好きで、ジョン・レノン、八代亜紀、ちあきなおみが大好きで、クリント・イーストウッドと映画も好きで、皮肉とユーモアも好きな変わり者アラフォー熟女ですが、よろしくお願いします。
最近は体力をつける為に、休みの日はえっちらおっちらとミニハイキングに勤しんでいます。

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