羽生選手が(主に)ジャンプに関する判定・採点法にモノ申した卒業論文を書いたとか。
→こちらからどうぞ
これが正確な事実とすれば、コアなフィギュアファンにとっては、ちょっとしたニュースですね。
これまでの羽生選手の言動を鑑みると、少し意外な感じがしました。
内容としては、過去に元スケーターやテレビ解説者や一部ファンの間でも問題視されて来たものですね。
①ジャンプに関する評価規定基準(特に離氷時)が曖昧でジャッジにより評価の差がある。
記事より引用…《ループジャンプは右足で遠心力を利用しながらジャンプするが、飛び上がるまでに遅い、つまり、離氷せずに回転数を稼いでから離氷するようなジャンプを行うスケーターらがいる。これは正しい技術ではなく、稚拙なジャンプであるが、これを現ジャッジングシステムでは減点対象であると明記してあるのにもかかわらず、離氷を判定する基準がないため、これの適用がうまくできずにいた》…引用終わり。
②ジャンプの難度がどんどん増す中で、わずか1秒以内で完了するジャンプについて、もはや、目視では正確な判定は難しく、AIなどの自動採点を導入する方向で進めるべきだ。
五輪2連覇の羽生選手の意見だけに、説得力がありますよね。
私個人は、AIのような機械による自動判定には後ろ向きです。
単に、アウトかセーフ、アウトかインか、のような判定であれば分かります。
しかし、フィギュアスケートは「演技」なんですよね。
演技を自動判定って、どうなんでしょう?
例えば、クラシックバレエのコンクールで仮にAIによる自動判定が導入されたら、凄い違和感を覚えます。バレエにも一つひとつ技術が要求されますが、個別の技についてAIによる判定は不可能ではないでしょう。しかし、バレエというのは「全体の演技の流れの中で総合的に判定するもの」ではないでしょうか?
また、バレエにせよフィギュアスケートにせよ、同じ技でも、選手毎の体型・個性による違いがあり、同じアクセルジャンプであっても、選手毎に個性といいますか、癖といいいますか、違いがあります。こういうものも考慮に入れる必要があるのではないでしょうか。そして、こうした個性の違いは人間の目でしか判定出来ないものでしょう。
また、野球の場合、ピッチャーが投げた球の「ストライクかボール」の判定についてAIによる自動判定は不可能ではないでしょう。しかし、ピッチャーが非常にキレのある球を投げている場合に、少しストライクゾーンから外れても「ストライク」と審判が判定することがあります。
また、バッターの身長により、上下のストライクゾーンは変わるようですが、これもバッター一人ひとりに違いがあるから当然でしょう。これを無視するわけには行きません。
それゆえ、「ストライク・ボール」の判定は機械ではなく目視がベターと思うのです。
賛否両論あるにせよ、羽生選手が大きな一石を投じたことは間違いありません。
「時代の流れ」として、機械による自動判定・自動採点はいずれ導入されるでしょうね。
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2021.04.22 |
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2018オンドレイ・ネペラ・トロフィー
→採点結果はここです
紀平梨花選手のショートプログラム「月の光」
→ここです
2008~2009年シーズンに浅田真央さんが演じたショートプログラム「月の光」を懐かしく思い出しながら紀平選手の演技を堪能しました。特に、私が生観戦した2009年の国別対抗戦での「月の光」は素晴らしかったです。
特に、イーグルからリバースのダブルアクセルは見事で、ランディング後も直ぐに難しいステップを踏む凝った構成でした。技術的にも、表現面でも今活躍しているトップ選手達と優に肩を並べるか、それ以上の演技ではなかったでしょうか。
何回観ても、ため息の出る名演です。
2009国別対抗戦の「月の光」→ここです
こうして見ると、紀平選手こそ浅田真央さんの真の後継者と言えるのではないでしょうか。今シーズンは断固、トリプルアクセルを跳び続けると宣言している所も浅田真央さんの後継者に相応しい。
16才の紀平選手もあと2年もすれば、当時18才だった浅田真央さんの美しい表現力も身に付いていることでしょう。
紀平選手が3番目に跳んだ単独のトリプルルッツですが、ランディング後に、たぶん、カウンター(右足アウトサイド)※からスパイラルという難しい繋ぎをしていますね。よほどトリプルルッツに自信がないと出来ない技でしょう。
※エッジがアウトサイドからインサイドに変わっていればスリーターンなのでしょうけど、画面が粗く小さいのでちょっと私には確信はありません(^_^;)
私にとって、かつての浅田真央さんや安藤美姫さんのようにハラハラ・ワクワクさせてくれる女子選手は、紀平選手と樋口選手なんです(^_^)/。もちろん、宮原知子選手の優美な表現技術にも見惚れてしまいますが。
●GOEの加点が甘くなった?
紀平選手の採点の詳細を見ますと、GOEの加点が+3~+4が中心になっています。+2は二つだけ。+5は三つあります。どうなんでしょうね?
どうしても昨年までのGOEの制度が頭にあるのか、+3とか+4を見ると、アレッ?と思ってしまいます。まだ、シーズンは始まったばかりなのですが。。。2位のツルシンバエワ選手も似たようなGOEになっています。つまり、紀平選手が跳びぬけて評価が高いとは言えないようです。
これだと、羽生選手のノーミス演技には+5が沢山並ぶのかな。
もしもそうなれば、GOEを+3~-3の7段階から、+5~-5の11段階にした意味はどうなんでしょうね?7段階式が「頭打ち」になってので、11段階にしたんじゃなかったのかしら?
もっとも、新方式が始まったばかりですからジャッジの方々も試行錯誤はあるのかもしれませんね。
紀平選手、ショートプログラムでノーミスであれば、76点くらいは取れる内容になっています。これは、宮原選手がほぼ完璧な演技をして出るレベルなんですよね。
一つひとつの技の流れ、スケーティングの流れ、全体の流れ…淀みの無い素敵な演技と思います。
フリーが楽しみです。
☆追記
紀平選手、規格外の強さ!!
→フリーはこちらで
2本のトリプルアクセルの質の高さ!
その大きさ!美しさ!
演じ全体のクオリティーの高さ!
最後のジャンプ、トリプルサルコウでは3回転が回り過ぎてミスする程のスタミナ!
これは、伊藤みどりさんの再来ですよ!
紀平選手が全日本女子のエースになる時代が来た!
そして、世界のベストスリーに入ると思います。
2018.09.21 |
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新ルール→ここです
●3A(トリプルアクセル)の基礎点が8.5点から8.0点に下がり、4回転ジャンプも例えば4S(4回転サルコウ)は10.50点から9.70点に下がりました。
この狙いは何か?
エスカレートする4回転ジャンプ合戦による怪我の増加を防ぐ、ジャンプの得点に偏りがちだったのを、もっと演技全体のウェルバランスを重視する方向に変えたい等。
これはこれで分かります。
確かに、近年、男子では4回転ジャンプを「1本でも多く跳んだ者勝ち」みたいな傾向があり、フィギュアスケート本来のスケーティング力の美しさや、音楽表現の技術がややもするとなおざりにされている感がありました。
もう一つ大事なことがあります。
高難度の技が多くの選手によって実施されるようになれば、その高難度技の価値は相対的に下がり、基礎点もそれに応じて下がるのは自然なことと思います。
しかし、女子はどうなのでしょうか?
●男子と女子とで技の基礎点が全く同じというのはナンセンス。体操競技を見習え。
女子体操ではH難度技とされる後方2回宙返り&2回ひねり(シリバスとも呼ばれる)は、男子ではせいぜいD難度くらいで基礎点がぐっと下がります。
女子ではほんの数人しか出来ない高難度技でも、男子ではそれほど難しいとはされていないようです。
これはフィギュアスケートの場合にも当てはまるではないでしょうか?
男子で高難度ジャンプの基礎点を下げるのは合理的理由がありますが、女子にはありません。
今でも、3Aを試合で継続して跳べる女子選手は2人くらいでしょう。
4回転が跳べる選手ついてはロシアの女子ジュニアで一人、出て来たばかりです。
つまり、女子にとっては3Aも4回転も相変わらず稀にしか決められない高難度技なのです。
それを男子と一律に基礎点を下げてしまうのは、あまりに乱暴ではないでしょうか。
逆に、レイバックスピンは男子の基礎点を上げたらどうでしょうか?
柔軟性に劣る男子にとって、レイバック~ビールマンスピンは高難度技と言えましょう。
女子がレベル4で2.70点であれば、男子はコンビネーションスピン並に3.50点に上げても良いと思います。
●男子シングルと女子シングルとの違いを更に明確にする。
バンクーバー五輪の頃、キム・ヨナさんの得点(技術点・演技構成点)が男子のトップ選手よりも高いのはおかしい!と叫ぶ一部のファンがいて、それに対し、
「女子と男子とでは戦う土俵が異なるのだから比較は無意味」との反論がありました。
そうであれば、なおのこと、女子と男子の技の基礎点を別々にする方向が望ましいと思います。
●回転不足+転倒と、回転は認定+転倒の得点差がわずかというのは変です。
4S(4回転サルコウ)の例を挙げます。
①4回転認定で転倒した場合。
基礎点9.70点-4.85点(基礎点の50%が引かれる)=4.85点。
②回転不足で転倒した場合。
基礎点7.28点(本来の基礎点の75%)-3.64点(基礎点の50%)=3.64点
つまり、①と②とでは、得点差がほんの1.21点しかないのです!
どうしてこうなるのか?
まず、回転不足は過去のルールでは基礎点の70%とされていたのを、新ルールでは75%に上げたこと、
次に、GOEによるマイナスをそのジャンプ本来の基礎点(9.70点)ではなく25%減された基礎点(7.28点)の50%のマイナス計算することにより、結果的に回転不足ジャンプに「甘い」得点が出るようになったことです。
基礎点の段階では2.42点の差があったのが半分の1.21点に減ってしまうのです。
これは回転不足ジャンプに甘過ぎると思います。
私は、回転不足+転倒も本来の基礎点の50%減にすべきと思います。
4Sの場合、
基礎点9.70点→7.28点-4.85点(9.70の50%減)=2.43点。
回転不足と転倒のダブルミスなのですから、これくらいにガクンと減って妥当かと。
あるいは、回転不足を旧ルールのように30%減に戻すのが妥当かと。
2018.09.19 |
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動画、お借りしますm(__)m
ステップ・ターンの識別、スピンの識別の勉強になります。
それだけではなく、ステップ・ターンに伴うそれぞれの上半身の動かし方にも注目。上半身の動きもターンを識別するヒントになりますし、スケーターがどれだけ大変なことを行っているかを少し知ることにもなります。
他に、色々なフリースケーティングのムーブメンツ(イーグルとかイナバウアーとか)についても教えてくれます。
単にテロップで表示するよりも、演技の進行に合わせながら口頭で各ターンやスピン等の種類・名称を言ってくれる方が親しみ易いですね。
フィギュアスケートの様々な技術&ルールを知ることで、フィギュアスケートの楽しみ方が広まりますね。羽生選手の演技を見る楽しみも増えます。
しかし、「ターンの種類?そんなのウザイや。シャラクセェ」と思う人は、それはそれで自由ですし、見たままのフィギュアスケートを自分なりに楽しめば良いと思います。
ネット上には紛い物動画やトンデモ検証動画なるものが乱立し、それらを信じてしまうファンもいるようですが、本物の優れたフィギュア教材動画を制作した小高あたる様に感謝します。
☆ステップ・ターン分析の大家、ファントム様も浅田選手の演技を使って、このようなフィギュア教材動画を作ってくれたらいいのにと思いますが、如何?(^o^)
2016.12.07 |
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●フィギュアスケートのルールと技術を勉強する為の優良お役立ちサイトがあります。
【フィギュアスケート】採点ルールと技術解説まとめ Wiki*
→サイトはここです
ジャンプ、スピン、ターン・ステップ等の各技術についての詳しい解説と関連映像がパックされていますので大変に便利です。また、演技構成点の解説についても各5項目の映像と英文解説の和訳までありますので、私にとっては至れり尽くせりの有り難いサイトです。
このようなサイトを作った方々には敬意を表すると共に感謝いたします。この素晴らしいサイトこそ、ネット上に拡散され、多くの一般のフィギュアファンに見てもらうべきものでしょう。
●全日本ジュニア選手権大会(11月18日~20日):北海道
テレビ放送が11月20日(日)17:00-18:55 BSフジで何と!生放送されます!
これは嬉しいです。
シングルに限って言えば、男子の主な出場予定選手には、島田高志郎君、三宅星南君、友野一希君、他。そして、女子は本田真凛さん、紀平梨花さん、坂本花織さん、青木祐奈さん、他。
私が特に注目しているのは、ノービス推薦出場の女子選手3人です。
住吉りをんさん。
岩野桃亜さん。
松岡あかりさん。
彼女たちは、先日行われた全日本ノービス選手権で100点を超えています。
☆2016全日本ノービス選手権リザルト
→サイトはここです
このリザルトを見て、3人の中でも私が「おッ!」と思ったのは、松岡あかり選手です。その理由の第一は、3つのスピンの全てでGOE加点が+1点以上も付いているのです。日本女子選手において、ジュニア~シニアを見渡しても、3つのスピン全てで+1点以上の加点を貰えるケースは非常に稀です。松岡選手、スピンが得意なんでしょうね。
理由の第二は、3人の選手の中で彼女の演技構成点の評価が一番高いことです。つまり、スケートスキルや表現技術に良いものを持っているのだろうと思います。
理由の第三は、3ルッツー3トゥループ、2アクセルー3トゥループの難しいコンビネーションをしっかり決め、GOE評価も高いことです。ルッツを得意にして、セカンドジャンプの3トゥループに繋げる技術は、20才を越えてからも長く生きるでしょう。セカンドジャンプを3ループにして跳ぶ技術は非常に難しいので成功させれば凄いのですが、シニアになると成功率が落ちるので競技用としてはあまり得にはならないのです。
以上の理由から、松岡あかり選手の将来性はとても高そうかなと。もちろん、女子の場合は体型変化の影響を受けやすいので未来の予測となると難しいですけどもね。
☆3人のノービス選手を紹介した最新記事があります。
→サイトはここです
こちらのサイトは国内大会で活躍する若手選手たちの記事が多いので有難いです。
BSフジでこの3人の演技を放映してくれると嬉しいけどなあ。。。
●全日本ジュニア女子シングルの順位予想は。
今季の調子から見て、やはり、
本田真凛選手、紀平梨花選手、坂本花織選手の3人が表彰台に上る可能性が高いでしょうね。総合力では本田選手と思いますが、今季絶好調の坂本選手にも優勝のチャンスは大いにありそうです。また、展開によってはトリプルアクセルの飛び道具を持つ紀平選手にもチャンスはあるでしょう。ただし、ジュニアではショートプログラムでトリプルアクセルは禁止されているので紀平選手はショートでのミスは絶対に出来ないですね。
2016.11.17 |
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