短くも凛々しく燃え

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樋口 一葉:1872年5月2日〈明治5年〉- 1896年〈明治29年〉
歌人。小説家。東京生れ。本名は夏子。

女性として最も素晴らしい小説家の一人と思う。
五千円札にもなったが、案外と読まれていないようだ。少なくとも私の周囲では誰もいない。
恐らく、明治初期の擬古文調の文章が敬遠されるのであろう。
これも戦後の国語改革や現代の教育の「成果」だ。
明治初期以前の日本人の手による優れた文学がまるで「外国語」による文学と化し、等閑に付されている。
塩野七生さんによるとイタリア語の場合は古代文も現代文もそれほど大きな違いがなく、小学生から古典が読まれているという。羨ましい話だ。

TBS衛星放送の2時間ドラマで「樋口一葉」を見た。
樋口一葉に扮するは内山理名さん。雰囲気としてはやや甘口な一葉だが結構楽しめた。
一葉を文壇にデビューさせた半井桃水との出会いと微妙に揺れる双方の恋愛感情、そして訣別。
これはドラマとしては美味しい箇所であり、比較的丁寧に描かれていたと思う。

しかし、名作「たけくらべ」の創造の過程と吉原遊郭近くでの生活については物足りなかった。
もう少し「たけくらべ」に寄り添ったストーリーが欲しかった。
たまたま知り合った遊郭の女性の死がきっかけになって書かれた、程度では淋しい。
ここが創造者の精神的活動とその秘密に迫る急所であるからだ。
しかし、民放の2時間では限界もあったのであろう。

わずか24才の若さで亡くなるまでに、いくつもの素晴らしい小説と日記、数多の和歌を残した一葉。
鎌倉時代末期に書かれた「とはずがたり」を最後に女性の手になる優れた物語は書かれずにいた。
それからおよそ500年。樋口一葉の出現と創造はまさに奇跡だったと思う。

「たけくらべ」「にごりえ」は文学の枠を越えて、美であると同時に真であるものの輝かしい結晶である。

彼女の死から115年が経つ。

女性の手による小説の歴史は、その後二度と、こういう文学者の出現を見ていない。



     いまだ恋といふ名の残りぬる恋は浅し     樋口一葉


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2011.11.23 | | コメント(0) | 文学



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片割月

Author:片割月
和歌を愛し、音楽を愛し、花を愛し、フィギュアスケートが大好きで、歴史・社会・文学が大好きで、ジョン・レノン、八代亜紀、ちあきなおみが大好きで、クリント・イーストウッドと映画も好きで、皮肉とユーモアも好きな変わり者アラフォー熟女ですが、よろしくお願いします。
最近は体力をつける為に、休みの日はえっちらおっちらとミニハイキングに勤しんでいます。

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