近代ギリシャの歴史を知っているか?





物語 近現代ギリシャの歴史 - 独立戦争からユーロ危機まで (中公新書)物語 近現代ギリシャの歴史 - 独立戦争からユーロ危機まで (中公新書)
(2012/02/24)
村田 奈々子

商品詳細を見る



財政破綻ですっかり有名になったギリシャ。私はギリシャ神話と古代ギリシャの歴史と文化は好きでも、それ以降の歴史となると、知識ほぼゼロに等しい。唯一知っているのはギリシャ映画の大作「旅芸人の記録」のみ。
ほとんどの日本人がそうじゃないかしら?

そもそも、世界史の中でもバルカン半島の歴史は複雑怪奇で、受験勉強の時に全体の流れが頭に入らず苦労した記憶がある。

そういうわけで、この本で説明されている近代ギリシャの歴史も人物も、初めて知るようなことばかりで、実に読み応えがあった。

まず、今のギリシャ民族は古代のそれと全く同じではない。ロシア、イスラム等、混血が進み、訳の分からないことになっているようだ。しかし、現在、公用語として使わているディモティキと称される口語ギリシャ語は、古代ギリシャ語を源泉とする言語らしい。1970年代まで、ギリシャでは古代ギリシャ語の流れに口語をミックスした「カサレヴサ」と民衆語の「ディモティキ」とが存在していたそうだ。

これは日本でも、戦前までの歴史的仮名遣いによる擬古文体と口語体が存在していたのと近いのかもしれません。

第二次世界大戦でギリシャはドイツナチスに支配された。それに対するギリシャの抵抗運動は激しかった。ところが、終戦後、ナチスと戦ってきた組織の中で、左翼系と右翼系による壮絶な内戦が続いた。この辺は日本の戦後とはかなり異なる。

結局、ソビエト共産勢力の進出を恐るイギリスやアメリカの介入により、右翼的軍事勢力が政権の座に就く。

ギリシャ軍事政権が何をしたか。
「第二次世界大戦以降、ギリシャで進行した『道徳上の病』の一掃を宣言」「ギリシャ人こそが『文明』をつくりだしたという事実は、世界が認めることであり、今こそギリシャは、その歴史的役割に恥じないよう蘇るときだと宣伝」「学校では毎朝国旗を掲揚することが義務づけられた」「ギリシャ国家とギリシャ民族への忠誠心を持つことが、何よりも重要と考えられた。『ギリシャ民族気質』が欠けていると判断されるや、その人物は職場を解雇され、公安当局の捜査の対象とされた」

う~ん。こうしてみるとギリシャも日本も、右翼の考えることは似ているなあ。これと良く似た政策を進め、威勢の良い発言をする地方自治体の首長や国会議員、保守派評論家や運動家が、今の日本では持て囃されていることを鑑みると、とてもヒトゴトとは思えないなあ。

「道徳心」「国家への忠誠心」「国旗の掲揚の義務化」「自画自賛史観」「処罰による引き締め」…どれもどこかで見たような政策や文言が並んでいる。

キプロス島の歴史。
キプロス島と聞いて、わずか一行でも何か説明が出来る日本人がいたら、それだけで「ヨーロッパ史通」と言えるでしょう。

大きさは日本の四国の半分。位置は地中海の東の端。トルコの南75Km。ギリシャ本土から西に約800Km。国名:キプロス共和国。EU加盟国。ただし、島の三分の一に当たる北部は北キプロス・トルコ共和国とされトルコの配下にある。ただし、国連からは認定されていない。

キプロス共和国はギリシャ以外で公用語にギリシャ語(とトルコ語)を使用する唯一の国。ギリシャ系住民が全島の三分の二を占める。残り三分の一がトルコ系住民。全島を統一する道が国連によって模索されているが、実現は困難らしい。

それと、ギリシャ神話に登場する愛と美の女神、アフロディティ生誕の地である。

他にも色々と興味の尽きない内容が沢山ある。良書と思う。

関連記事
スポンサーサイト

2012.05.29 | | コメント(0) | トラックバック(0) | 歴史・文化



コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

«  | ホーム |  »

プロフィール

片割月

Author:片割月
和歌を愛し、音楽を愛し、花を愛し、フィギュアスケートが大好きで、歴史・社会・文学が大好きで、ジョン・レノン、八代亜紀、ちあきなおみが大好きで、クリント・イーストウッドと映画も好きで、皮肉とユーモアも好きな変わり者アラフォー熟女ですが、よろしくお願いします。
最近は体力をつける為に、休みの日はえっちらおっちらとミニハイキングに勤しんでいます。

フリーエリア

検索フォーム

Powered By FC2ブログ

今すぐブログを作ろう!

Powered By FC2ブログ

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード

QR