ポアンカレ予想と数学の普遍性






100年の難問はなぜ解けたのか―天才数学者の光と影 (新潮文庫)100年の難問はなぜ解けたのか―天才数学者の光と影 (新潮文庫)
(2011/05/28)
春日 真人

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フランスの天才数学者、アンリ・ポアンカレ(1854~1912)が送り出した難問「ポアンカレ予想」は、100年間も世界中の数学者を悩ませてきた。

問い「単連結な三次元閉多様体は、三次元球面と同相と言えるか」

全く訳の分からない日本語があるものだ。これだから数学嫌いが増える。

著者はもうすこし、噛み砕いて説明している。すなわち、

「誰かが長いロープを持って、宇宙一周旅行に出かけ、地球に無事に戻ってきたとする。その時、宇宙にグルリと巡らせたロープが必ず自分の手元に回収出来るのであれば、宇宙は丸いと言えるはずだ」

分かるような分からないような。。。

そうか、私達は何となく宇宙は球状、丸いと思い込んでいるけど、もしかすると、ドーナッツ状かもしれないし、歪な六角形かもしれないのである。

もし宇宙がドーナッツ状であれば、宇宙を巡らせたロープが必ず回収出来るとは限らない。どこかで引っ掛かってしまう可能性があるわけだ。

ともあれ、宇宙の謎の一つを宇宙物理学ではなく、数学者が純然たる数学で解くというのが何とも不思議であり、愉快だ。

そして、この難問を見事に解いた(2003年)のがロシアの数学者、グリゴリー・ペレリマン(1966~)である。

ところが、2006年、国際数学連合が主催する4年に一度のフィールズ賞(ノーベル賞以上の権威があるとされる)の授賞式にペレリマンは姿を現さなかったという。賞金の100万ドル(当時約1億円)も受け取らなかった。

世間から忽然と姿を消したペレリマンは、各機関からの最高級の待遇で誘われても一切断り、年老いた母親と田舎でささやかな年金暮らしをしているそうだ。

青少年時代は明るく社交的であったペレリマンが、「ポアンカレ予想」の解明に本格的に取り組み出す頃から、何故、世捨て人のようになったのかは謎らしい。

ところで、彼が解いた「ポアンカレ予想」は、複数の数学者がおよそ3年がかりで「検証」したそうだ。まったくご苦労様としか言いようがありません。

何とも凄い世界だ。こんなことを一人でやってのける天才というか、鬼才・奇才は普通の精神状態ではいられなくなるのかもしれない、などと高等数学で四苦八苦した凡人は邪推する。

世知辛いこの世の中に、正当な賞金の1億円を「いらない」と拒否する人がいるなんて、とってもロマンティックな話しだよね。

私だったらきっと、ニコニコと満面に笑みを浮かべ、鼻歌を歌い、スキップしながら受け取りに行くけどな(^。^;)

それも、なるべくは賞金が非課税であることを欲張り願いつつ。

ところで、数学者の藤原正彦氏が言っていた。

数学こそ、絶対的普遍性のある唯一の学問であると。

たぶん、そうなんでしょう。


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2012.09.08 | | コメント(2) | トラックバック(0) | 歴史・文化



コメント

片割月さま、こんばんは。

この本、私も夢中になって読みました!

藤原正彦氏が書いた数学者の伝記やエッセイも一通り読みましたよ。
物書きとしての藤原氏が非常に好きというわけではないのですが、このレベルで数学・科学について論ずることのできる人は少ないので、あまり選択の余地がありません。
この手の本は、「科学について詳しい物書き」ではなく「文章も書ける科学者」でないと読むに値するものは書けない、というのが私の結論です。

日本語のできない人が源氏物語や枕草子について書いたものは、たとえその人が文学の世界的な権威であったとしてもピントはずれな場合がほとんどですから、同じことなのでしょう。


私は常々、人間の肉体で最も男女差があるのは生殖器を除けば頭脳ではないかと思っているのですが・・・それから、頭脳も肉体の一部である以上、数学やチェスがオリンピックの種目になってもいいのじゃないかと思っているのですが、賛同者は少なそうです。

2012/09/12 (水) 02:24:49 | URL | ドロンパ #DNU.zdFw [ 編集 ]

Re: タイトルなし

ドロンパ様、こんばんは。

おおッ!藤原正彦氏、アナタも読んでいらっしゃいますか(#^.^#)

>「文章も書ける科学者」でないと読むに値するものは書けない

激しく同意。

私が初めて藤原氏を知ったのは、以前、NHKの教育番組でインドの天才的数学者、ラマヌジャンの話しをしていたのを見た時です。

実に上手い語り口で引き込まれました。

私のうろ覚えですが…なんでもラマヌジャンは毎日半ダースほどの定理を発見し、教授に提出したとか。その上、定理のどれもが美しく、素晴らしいものだったと。

しかるに、私(藤原)は一ヶ月で6つの定理を発見するのが精一杯。しかも、その定理はつまらないものばかりだったと。

>最も男女差があるのは生殖器を除けば頭脳ではないかと

ぐぬぬぬ。。。言えてるかも。男共が喜びそうなテーマでありんすな(^。^;)

>数学やチェスがオリンピックの種目になってもいいのじゃないか

昔の五輪ではオーケストラの演奏とか、芸術も競技種目にあったそうですから、

有り得ることかも。

パソコンのタイピングのスピード&正確さを競う種目など、充分にありえる!!

2012/09/13 (木) 21:05:39 | URL | 片割月 #- [ 編集 ]

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片割月

Author:片割月
和歌を愛し、音楽を愛し、花を愛し、フィギュアスケートが大好きで、歴史・社会・文学が大好きで、ジョン・レノン、八代亜紀、ちあきなおみが大好きで、クリント・イーストウッドと映画も好きで、皮肉とユーモアも好きな変わり者アラフォー熟女ですが、よろしくお願いします。
最近は体力をつける為に、休みの日はえっちらおっちらとミニハイキングに勤しんでいます。

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