江戸時代は現代より幸せだったか?


江戸のお白州 (文春新書)江戸のお白州 (文春新書)
(2000/09)
山本 博文

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今年の12月に文庫本となる。

山本博文氏の本はどれも読み応えがある。
資料に基づく解説には圧倒的なリアリティーがある。
「作り物」の歴史小説やテレビの時代劇では味わえない知的興奮である。
原文をある程度示しつつ現代語にアレンジしてくれるので読み易い。

この本では江戸時代の犯罪が生々しく登場する。
その多くが痴情、不倫、身分違いの恋や駆け落ち。
江戸時代は不義密通は死罪になる場合が多かった。
それでも人は止められないものだ。
むしろ、様々な障害があればあるほど燃え上がるのが恋である。

主従関係を非常に重んじた時代だから、奉公人が主人の妻と恋愛関係になれば、
ほぼ間違いなく奉公人が厳しく罰せられるのが特徴的だ。
やはり身分が下の人間ほど命も軽かった。

この本から得られる「豆知識」も楽しい。
江戸時代の判決文において「不届」とあれば重罪。
「不埒」はそれより一段軽い罪。軽微なものは「不束」と表現した。
ああ、だから自分を謙遜して「不束者ですがよろしく」と、今でも使うんだ。
テレビ時代劇「桃太郎侍」で「ふたつ、不埒な悪行三昧」というセリフは間違いで、
斬ってよいのは不届きな者でなければならないと山本氏は解説する。
なるほどね。

江戸時代の元禄期には「慳貪屋(けんどんや)」という名称の、
そば・うどん・酒などを出す店が既にあったらしい。
それにしても「慳貪」とは酷い当て字だ。
仏教用語で「慳貪」とは、がめつくてどケチという意味だからである。

日本固有の「交番」。その発祥は江戸時代の「辻番」だという。
町の辻、道が交わる所に置いたから「辻番」なのだろう。

江戸時代末期の安政期。
南北奉行所の与力・同心を合わせてもわずか200人前後だったそうだ。
わずかこれだけの人数で100万人を越える江戸を警備出来たのは
「辻番」というシステムの御陰らしい。

ただし「辻番」をラブホテル代わりにする「不埒?」な番人もいたらしい。
自分が愛人を呼ぶのではなく、ラブホテルとして貸して「休憩代」を徴収する。
この時代はラブホテルなどなかったから、
お金の無い庶民は不倫をするにも場所には非常に不自由したらしい。
お金持ちのように「お茶屋」を使うわけには行かなかった。

ところで、「交番」である。
1983年にはシンガポールで、2005年にはブラジル最大のサンパウロ州で「交番」を導入。犯罪が激減したそうだ。この例からも「辻番」システムがいかに優れたいたか分かる。

巻末の解説で宮部みゆき氏が少し触れていますが、
近年の「EDO」ブームで、あたかも「江戸時代は良い時代であった」かのような幻想がある。が、この本を読めば現代の方が遥かにマシと痛感する。
だって、主人の女房に艶書を出しただけで死罪になるんじゃ、たまったものではない。

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2011.12.22 | | コメント(0) | 歴史・文化



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片割月

Author:片割月
和歌を愛し、音楽を愛し、花を愛し、フィギュアスケートが大好きで、歴史・社会・文学が大好きで、ジョン・レノン、八代亜紀、ちあきなおみが大好きで、クリント・イーストウッドと映画も好きで、皮肉とユーモアも好きな変わり者アラフォー熟女ですが、よろしくお願いします。
最近は体力をつける為に、休みの日はえっちらおっちらとミニハイキングに勤しんでいます。

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