私の好きな歌・その11 秋への想い





   秋風にあへず散りぬるもみぢ葉の ゆくへさだめぬ我ぞかなしき

                                     古今和歌集(秋・286)


この歌は古今和歌集の中でも指折りの名歌と思います。

日本人の四季に対する美感は万葉集の時代にその萠芽が見られますが、10世紀初頭に編纂された古今和歌集によってそのプロトタイプが完成したと思います。

秋は寂しい。力なくヒラヒラと舞い落ちる葉に、人は、人生の虚しさ、夢の儚さ、恋の悲しさ切なさを見出す。多くの日本人は秋に最も深い情感を抱きます。

この歌は秋の自然の情景に寄せて人事を詠う和歌の典型と言えましょう。誰もこの歌ほど明確に「秋と人生」を融合させた例はありません。

その意味では、この歌は和歌史上、極めて独創的であり、ある種の絶対的なものを具現したとも言えるでしょう。しかも、しみじみとした情感が漂っています。まさに、日本人が均しく抱く「秋の情感と美感」の象徴となる歌。

古今和歌集以降も、秋を詠った和歌は無数にあれど、そのほとんどはこの歌の後塵を拝していると言っても過言ではないかもしれません。

フランスの有名なシャンソンに「枯葉よ」があります。しかし、それよりも遥か遠い昔に、平安歌人は「枯葉」の何たるかをとっくに詠み切っていたのです。


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2012.11.12 | | コメント(0) | トラックバック(0) | 文学



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片割月

Author:片割月
和歌を愛し、音楽を愛し、花を愛し、フィギュアスケートが大好きで、歴史・社会・文学が大好きで、ジョン・レノン、八代亜紀、ちあきなおみが大好きで、クリント・イーストウッドと映画も好きで、皮肉とユーモアも好きな変わり者アラフォー熟女ですが、よろしくお願いします。
最近は体力をつける為に、休みの日はえっちらおっちらとミニハイキングに勤しんでいます。

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