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大王(天皇)が女帝の場合は伊勢の斎王は置かなかった

黒岩重吾「古代史の謎を探る」大和書房(1986年初版)


神田の古本屋で発見、かねてから読みたいと思っていた本だ。ラッキー!と、心の中で大きく叫ぶ。本の値段は700円。何やらエラク得した気分。
黒岩氏の古代史研究は、小説家とはいえ、ライフワークに近い情熱、イヤ、心血を注いだものであった。

日本の神話や古代史の謎を探ること、日本語の語源を探ることは日本人のルーツを探る旅でもある。

蘇我氏の出目を百済の高官、木羅満致=蘇我満智とする門脇禎ニ氏と、百済の王族、昆支王の子孫が出目だとする黒岩氏の対談が面白かった。私の記憶では黒岩氏は後年には木羅満致説に傾いて行ったと思うが。

聖徳太子は「日本書記」によれば推古10年に、高句麗僧の恵慈、百済僧の観勒などの優秀なブレーンがいて、特に観勒からは仏教だけではなく、天文、遁甲方術等を学んだとされる。さらには道教も本格的に学んだのではないかと黒岩氏は主張する。仏教という日本にはまるで馴染みの無かった宗教が広く受容されて行った背景には道教との融合があったからではないかと黒岩氏は言う。

聖徳太子の作との伝説のある「湯岡碑文」の漢詩。そこに「日月は上に照りて私せず、神の井は下に出でて給へざるなし…」とあるが、黒岩氏は「日月は天にありて私せず」というのは、もう、これは大変な思想じゃないか、と主張する。当時、天というのは大王家のものであったのに「私せず」とは、革命的思想ではないかと。さらには、天寿国というのは間違いなく道教のものであり、仏教の教えには寿国はない。聖徳太子は斑鳩に地上楽園を作ろうとしたのではないかとの仮説を述べる。

なるほど!なかなか説得力のある黒岩説と思った。

門脇氏は「聖徳太子は大王だった」との説を展開する。黒岩氏も概ね賛同する。その根拠としては隋書倭国伝を引用するだけではなく、大王(天皇)が女帝である場合を除き、必ず伊勢の斎王が出ていることを挙げる。すなわち、酢香手姫の存在である。そして斎王として仕えること37年目にして酢香手姫は退く。ちょうどこの年は大王であった聖徳太子の死んだ年と重なるというのである。この後、推古が女帝となる。

では何故「日本書記」には聖徳太子が「大王」と記録されなかったのかとの黒岩氏の問いに、門脇氏は「山背王子一族の滅亡によって、聖徳の王統を継ぐものが絶えてしまったからであろう」と答える。

ウン、ウンと頷くばかりの、痛快な仮説の展開である。今から25年も昔の本ではあるが、少しも古びた感じがしない。「聖徳太子は存在しなかった」なんて、私は絶対に支持しないんだから。


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2012.01.06 | | コメント(4) | 歴史・文化



コメント

あ~私も読んでみたい

片割月さま、素敵な年賀のお言葉ありがとうございました^^
爆笑するやら感心するやら、語彙が豊富で自由自在に操るとことが凄いですね~~~



>門脇氏は「聖徳太子は大王だった」との説を展開する。黒岩氏も概ね賛同する。その根拠としては隋書倭国伝を引用するだけではなく、大王(天皇)が女帝である場合を除き、必ず伊勢の斎王が出ていることを挙げる。すなわち、酢香手姫の存在である。そして斎王として仕えること37年目にして酢香手姫は退く。ちょうどこの年は大王であった聖徳太子の死んだ年と重なるというのである。この後、推古が女帝となる。



そうなんですね!!!知らなかった!


>では何故「日本書記」には聖徳太子が「大王」と記録されなかったのかとの黒岩氏の問いに、門脇氏は「山背王子一族の滅亡によって、聖徳の王統を継ぐものが絶えてしまったからであろう」と答える。



これについては、黒岩重吾氏はなんて考えていたんでしょう・・・
天皇家の血筋が途絶えても特に問題は無いですよね。
もし大王と記されなかった理由があるとするなら、出目に関係する気がしますね~~~


>「聖徳太子は存在しなかった」なんて、私は絶対に支持しないんだから。

1000%同意します!!!(^o^)/

聖徳太子は、政治的にも宗教的にも大天才だったと思うし、日本人の宗教観の礎を作った聖徳太子を否定するなんて全くどうかしてます。

日本人の家には、仏像と神棚がどうして共存するのか。
こんな簡単な疑問には日本人のほとんどが答えられなきゃいけません。


2012/01/07 (土) 09:23:17 | URL | はぴらき #- [ 編集 ]

Re: あ~私も読んでみたい

>では何故「日本書記」には聖徳太子が「大王」と記録されなかったのかとの黒岩氏の問いに、門脇氏は「山背王子一族の滅亡によって、聖徳の王統を継ぐものが絶えてしまったからであろう」と答える。

> これについては、黒岩重吾氏はなんて考えていたんでしょう・・・
> 天皇家の血筋が途絶えても特に問題は無いですよね。
> もし大王と記されなかった理由があるとするなら、出目に関係する気がしますね~~~


黒岩氏「結局、蘇我系の大王とかじゃなしに、大王の一族が全部死んだということが決定的であるということ。なるほど」とかなり納得しています。

また、黒岩氏から門脇氏への最初の質問には他に「聖徳太子が大王だとすると、利歌彌多弗利を田村皇子(後の舒明天皇)とする(門脇氏)と、600年の時点で三十年弱も先に大王となった田村皇子を、すでに太子としていたといえるかどうか?」と言っています。

これに対し門脇氏は、日本書記が編纂された頃に絶えてしまった王統をかつてあったという発想はなかなか出てこないだろうということ、田村皇子の「村」は、フル、フレ、と発音していたことと「弗利」との関連、「大安寺伽藍縁起」には聖徳太子が死を前にした時に特に呼んだのが田村皇子で、自分の熊凝精舎を後に寺にしてくれと頼んだような特殊な関係にあったこと、当時の大王は世襲制ではなかったこと、田村皇子の年齢は600年の時点で太子とするのに齟齬はないことを挙げて説明しています。

これに対し黒岩氏は特に反論はしていませんでした。

2012/01/07 (土) 12:07:45 | URL | 片割月 #- [ 編集 ]

なるほど

>黒岩氏「結局、蘇我系の大王とかじゃなしに、大王の一族が全部死んだということが決定的であるということ。なるほど」とかなり納得しています

田村皇子は急に日本史上に現れた感じが否めませんが、それだと納得できますね。

ただ、史上から抹殺したいのは、素俊天皇じゃないかと思うのですがね~~~
それだと、太子一族を滅亡させたのは、ますます中臣鎌足氏黒幕説が濃厚になるような気がします・・・

推古朝が長いので、もしかすると、山背大兄皇子も即位したのかもしれませんね。
そして史上から消されたと。

2012/01/08 (日) 10:09:20 | URL | はぴらき #- [ 編集 ]

Re: なるほど

> ただ、史上から抹殺したいのは、素俊天皇じゃないかと思うのですがね~~~
> それだと、太子一族を滅亡させたのは、ますます中臣鎌足氏黒幕説が濃厚になるような気がします・・・

おお、さすがに鋭い所を突いて来ますね^^

黒岩氏は大王位を狙う入鹿が軽皇子(後の孝徳天皇)と組んで山背皇子他の太子一族を滅ぼしたという説ですね。それと、黒岩氏は門脇氏に「日本書記では、崇峻天皇を馬子が殺害しています。それを平気で載せている。ところが厩戸皇子に限って、大王ということを書いていないこと、何故書いていないのだろうか?」と質問しています。

これに対する門脇氏の説明は、「これまで『日本書記』でお話しして来ましたが、実は、720年にできたとされる『日本書記』というのは『日本記」であり、今の『日本書記』ではないわけです。後の天平宝字頃から、更に平安前期の、ああいう中国文学の盛んな時期に、中国的素養で修飾され、補修されたものが我々の眼の前にある『日本書記』であり、だから今我々が見ているものを『続日本記』に720年(養老4年)にできたと書いてある『日本書記』と同じものとして読んではならない。そういうように理解していくと、奈良時代後半から平安初期の天皇は、崇峻天皇を殺したのが恐れ多いという考え方はないわけでしょ。特に孝謙・称徳以後の天皇の特色は、ニ官八省の、各省の長官、今で言えば大臣としての行政経験者が天皇にされてくる。だから、そういう点でいくら王族の系統であっても、天智系であれ天武系であれ、平気で廃太子されてますし、そういう感覚の中で、崇峻を殺したとか、雄略を悪しき天皇というような発想が平気で書けるんだというようなことを私は考えています。あまりスキッとした説明になりませんけど」

黒岩氏「勉強させてもらっています」


> 推古朝が長いので、もしかすると、山背大兄皇子も即位したのかもしれませんね。
> そして史上から消されたと。

ウン、これも有力な仮説ですよね。山背大兄皇子が聖徳太子の子供であるとは「日本書記」には記載されていないんですよね。上にあるように黒岩氏は違う仮説なようですけども。

2012/01/08 (日) 12:37:32 | URL | 片割月 #- [ 編集 ]

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片割月

Author:片割月
和歌を愛し、音楽を愛し、花を愛し、フィギュアスケートが大好きで、歴史・社会・文学が大好きで、ジョン・レノン、八代亜紀、ちあきなおみが大好きで、クリント・イーストウッドと映画も好きで、皮肉とユーモアも好きな変わり者アラフォー熟女ですが、よろしくお願いします。
最近は体力をつける為に、休みの日はえっちらおっちらとミニハイキングに勤しんでいます。

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