「ワルキューレの騎行」…ソチ五輪に相応しい音のスペクタクル
作曲:ヴィルヘルム・リヒャルト・ワーグナー(Wilhelm Richard Wagner 1813~1883)
曲名:ワルキューレの騎行
作年:1856年
羽の付いた鉄兜を被り、槍と盾を持ち、馬に乗って天空を駆け巡るワルキューレ。「地獄の黙示録」でベトナムの村を焼き払う軍用ヘリコプターではありません。
五輪という大舞台にはワーグナーのような壮大な音のスペクタクルが効果的と思うのですが、フィギュアスケートでは何故かあまり使用されません。ワーグナー本人があからさまなユダヤ人差別者であったことや、音楽がヒトラーのナチスに利用された後遺症が未だ根強いのかな。
「ワルキューレ」は戦乙女くらいに和訳されていますが、元来は「ワル=戦場」と「キューレ=選ぶ」という言葉から出来ているそうだ。彼女達の使命は戦場で倒れた男達を神々の住まうヴァルハル城へ連れて行くことだ。
長姉格のブリュンヒルデと8人のワルキューレは、神々の長であるヴォータンがエルダとの間にもうけた娘達である。
「ワルキューレの騎行」は、北方神話等に取材したオペラ「ワルキューレ」の第三幕の序奏です。当時からこの曲は人気が高かったようです。その為、作曲者のワーグナー自ら管弦楽曲にもアレンジしたくらいです。
動画はジェームス・レヴァイン指揮、メトロポリタン歌劇場によるものです。2006年に日本公演があり私はそれをNHKホールで鑑賞しました。
ジークムント役にあのドミンゴが。さすがに年老いていましたが良質の声で熱演していたのが印象的でした。
最近、ヨーロッパの歌劇場では斬新なワーグナー演出が増え、私など意図が分からずチンプンカンプンになりますが、アメリカのメトロは概して保守的な演出なので「安心?」して見れます。
さて、この曲の壮大で覇気に満ちた音楽と長姉のブリュンヒルデの風貌から、「ワルキューレの騎行」を使って滑るのに相応しい女性スケーターはワグナー選手でしょう。WagnerにはWagnerを(´▽`)
継いで、安藤選手、ゲデ子、ザワツキー選手、オズモンド選手あたりか。細身、スレンダー系の選手は不釣合いでしょう。
この曲はショートでもフリーでも可能でしょうけど、デニス・テン選手の「アーティスト」のように同じ映画なり歌劇の音楽で通すのも面白い。
ヴォータンの忠実な娘でしかなかったブリュンヒルデが「男女の人間的な愛」に目覚め、「ワルキューレのテーマ」や「愛の救済のテーマ」を歌いながら亡き夫を追うように火に飛び込む。神々の城、ヴァルハラも燃え尽きる。
こちらはフリー用。これも歌無しの管弦楽にアレンジしたものがあります。と言っても、このフィナーレはほとんど管弦楽の演奏による壮大な超スペクタクルです。
→動画はここです
フィギュアスケートではやたらとロシア音楽が使われるけど、私はいささか食傷気味です。あえてドイツ音楽の権化みたいなワーグナーの音楽で「ソチに殴り込み」をかける猛者や猛女が一人くらいいても良いのになあ。。
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2013.06.02 | | コメント(17) | トラックバック(0) | 音楽