猫宮黒埜著「フィギュアスケート・疑惑の高得点」を論ず⑥




【知ったかぶりと虫眼鏡的詭弁法】

本の目次から「ジャッジシステムの問題」の項の続き。

猫宮氏はISU(国際スケート連盟)内部の組織・人事・権限、そして勢力図などについて論じています。

例えば、スポーツ局長であるドイツのペーター・クリック氏を中心とした「ドイツ表現派」がヨナ押しで審査を牛耳っているかのように「臭わせて」います。

へえ~、著者はどうしてISU内部のことに詳しいのでしょう?もっとも、7割以上はネット上で見かけたネタの拾い集めで書かれている模様です。

私達がISU組織内の動きを正確に知ろうとしたら、組織内の信頼できる筋とのパイプが無ければ不可能です。それも複数の情報ルートから入手することで「裏を取る」、つまり精度の高い情報を手に入れることが可能となります。

黒猫氏にそのような「パイプ」は無さそうです。つまり、裏の取れぬ信頼度の低いネット上のネタに自分の憶測を重ね、知ったかぶりの主張を並べているに過ぎません。

その中で著者は2007年トリノのグランプリファイナル後に行われたインタビューにおける、ペーター・クリック氏の有名な言葉を引用しています。私も動画で見た事があります。ただし、ドイツ語からの和訳にどれだけ正確性があるのか怪しいものですが。

これは話半分くらいに受け止めておけば良いと思います。本に引用するなら、ドイツ語を良く知る人にチェックして貰うくらいの慎重さが必要と思いますが、もちろん、猫宮氏は無批判で引用しています。

クリック氏「3Aを跳んだ選手が勝てなくても、全く気にすることはない」「3Aは確かにハイライトだが、他にも重要なことがある」「多くの構成要素、スピン、ステップ、ムーブメント、音楽の解釈が重要」「そしてキム・ヨナ選手は、どんな種類の曲であっても、表現できる感性があり、それはジャンプよりも重要なことで、彼女は素晴らしい選手だ…。」

著者は、「キム・ヨナを利用して、日本人ジャンパーを撲滅し、芸術がスポーツに勝ることを立証しようとする、(カタリーナ・ビットを理想とする)ドイツ表現派の考えが透けて見えます」と述べています。

私はクリック氏の発言が仮に上記のようだったとして、大筋は常識的なことであって、これが「日本人ジャンパーを撲滅する」言説と、虫眼鏡的な詭弁を弄して非難されるような内容では全く無いと思います。

また、キム・ヨナが表現技術と感性に優れていることは、クリック氏を待つまでもなく、何人もの一流スケーター、レジェンドが賞賛していることです。まさか、猫宮氏はキム・ヨナを賞賛するスケーターも、「買収さているかも?」と言うのでしょうか?そう言えば、ジョニー・ウィアーもキム・ヨナをソチの金メダリスト候補の筆頭に挙げていましたね。彼も買収の疑いあり、ですか。

また、クリック氏は「3Aはハイライト」と認めています。フィギュアスケートが多くの構成要素で競うスポーツでであることも事実です。逆に、「3Aを跳んだ選手が勝つべきだ」、という主張は極論で成立しません。

一つ引っ掛かるのは、「ジャンプよりも重要なことで…」でしょうね。和訳した人が正しくニュアンスを伝えていることを前提とすれば、これはクリック氏の理想論?であり、私も言い過ぎだと思います。


【流言飛語&空説で屋上屋を架す…砂上の楼閣】

目次「キム・ヨナの問題」の項より。

ここでは最初に、例の「練習妨害発言」が再び取り上げられています。ところが、猫宮氏は「(ヨナが)日本人選手を批判」と断じていますが、それを立証するキム・ヨナの発言はどこにあるのか示していません。

キム・ヨナが韓国暴走メディアに乗せられ、「なんであんなことをするんだろう」はあったにせよ、「日本人選手」と名指しした証拠は出ていません。

自説に有利にする為なら、情報を改竄するようなことを平気でするのでしょうか?「世界が求めているのは、真実と、フェアな精神です」(99ページ目)と主張する著者がこのようなことをして良いのでしょうか?

次は、キム・ヨナが韓国の「J.ESTINA」という宝石会社の商品を五輪の試合や会見等で着用していたことに触れています。「五輪憲章違反」に抵触はしなくても、「『疑わしきは罰せず』という論理を逆手に取った行為は、オリンピックに出場する選手として倫理的に褒められたものではありません。」と非難しています。

これも猫宮氏の詭弁・屁理屈の典型と言えましょう。そもそも、「五輪憲章違反の疑い」からして「言い掛かり」ですから、それを逆手に取るも取らないも初めから存在しません。

次に、キム・ヨナのドーピングを疑う声もあったことに触れ、証拠は無いと断ってはいます。証拠が無いのであればワザワザ書くことは無いと思うのですが、やはり、猫宮氏は「書きたい」のですね。「疑惑の高得点」とは関係の無い話しですが。こういうのを「印象操作」と言わずして、何を「印象操作」と言うのでしょうか?

さらには、2010年世界選手権に触れています。「キム・ヨナは(総得点で)2位となりましたが。転倒などのミスが目立ち、つめかけた多くのファンから採点への不満が噴出する中で、インタビューを受けたキム・ヨナは、『私は、フリーで1位だった』と、ファンの感情を逆なでする発言をしました。」と批判しています。

これも、言い掛かり。疑惑の高得点の解明には何にも役に立たないです。感情を逆なでしたとか、次元の低い言説を並べても空しいと思うのですが。猫宮氏の「悔しい感情」は良く伝わっては来ます。

著者はこの項の最後に、凄い「情報」を引用します。
「(2010世界選手権の)メダリスト達の共同記者会見では、浅田真央の会見中に携帯電話をいじり出し、それをたしなめようと、抗議の視線を送ったラウラ・レピスト選手に対して、逆に睨み返して唾を吐くしぐさをするという驚くべき姿を見せました。」と述べ、キム・ヨナの五輪金メダリストとしての資質がファンの間では問題視されていると批判しています。

私に言わせれば、このような未確認情報+下劣な憶測をもとにした言説こそ、猫宮氏が「驚くべき姿を見せた」のであり、「ライターとしての資質がファンの間で問題視され」ることだと思います。

著者による不確かな情報とそれにもとづく憶測の積み上げは、「屋上屋を架す」という言葉が相応しいと思います。空説による空論を重ねているわけです。そして、このような稚拙な主張に騙されるほど読み手は愚かではありません。氏は読者を少し舐めてはいませんか?

要するに、「疑惑の高得点」を何としても「八百長・買収」に結びつけようとする猫宮氏の意図がミエミエです。稚拙なやり方と思います。

次元の低いネタでページを埋めるよりも、2010世界選手権のフリー演技に則して、もっと突っ込んだ分析なり論評を書かれる方が遥かに疑惑の高得点の核心に迫ると思うのですが。。。


関連記事
スポンサーサイト

2013.06.17 | | コメント(0) | トラックバック(0) | フィギュアスケート・ネタ関連



コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

«  | ホーム |  »

プロフィール

片割月

Author:片割月
和歌を愛し、音楽を愛し、花を愛し、フィギュアスケートが大好きで、歴史・社会・文学が大好きで、ジョン・レノン、八代亜紀、ちあきなおみが大好きで、クリント・イーストウッドと映画も好きで、皮肉とユーモアも好きな変わり者アラフォー熟女ですが、よろしくお願いします。
最近は体力をつける為に、休みの日はえっちらおっちらとミニハイキングに勤しんでいます。

フリーエリア

検索フォーム

Powered By FC2ブログ

今すぐブログを作ろう!

Powered By FC2ブログ

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード

QR