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お薦め本:フランス革命と変態と






悪徳の栄え〈上〉 (河出文庫)悪徳の栄え〈上〉 (河出文庫)
(1990/10)
マルキ・ド サド、マルキ・ド・サド 他

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サド侯爵の生涯 (中公文庫)サド侯爵の生涯 (中公文庫)
(1983/05)
澁澤 龍彦

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マルキ・ド・サド侯爵(1740~1814)。その名が「サディズム」の語源となったフランスの変態文学者。

「変態好き」の人には超オススメです(笑)。噂に聞くよりも遥かに勝る、壮絶な小説だ。

小説「悪徳の栄」では、倒錯した性の世界に耽溺する女主人公の「冒険的変態録」だ。サディズム、マゾヒズム、レスビアン、集団乱交、近親相姦、快楽殺人等、なんでもござれ。酒池肉林の様が、これでもか、これでもか、と繰り返される。

果ては、イタリアの某国の皇太子やバチカンのローマ教皇までがこの狂乱の地獄図に加わる。さらには犠牲者を活火山の噴火口に投げ入れて「エクスタシー」を感じるにまで至る。

この小説の面白さは、サドが悪徳こそ人間の正しい自然の姿であり、むしろ正義ですらあり、美徳こそ偽善と欺瞞を覆い隠すもので廃絶されるべきだとする、「悪徳正義論」を堂々と展開することである。

「悪徳正義論」の根底にあるのは、無神論であり、魂の神秘などアホらしい、それは脳の物的反応に過ぎないとする唯物論である。当時としても急進的かつ合理性の高い思想である。サドの文学が単なるエロ小説と読み捨てられず、今日まで普遍性を勝ち得たのは、こうした「進歩性?」にもあるのだろう。

このような小説にローマ教皇を登場させるのも凄い。命懸けだ。現代の日本でさえ、この類の小説に天皇を登場させる事が出来るだろうか?

サド侯爵の後半生はフランス革命~ナポレオンの時代とすっかり被っている。彼は億面も無くパリの革命組織の一員に収まるが、乱痴気振りが祟り警察の御用となる。しかし、彼は逞しく生き残る。

ルイ王家と深い繋がりのある由緒正しい貴族の領主として、恵まれた生活を送り、ロクに仕事もせず、倒錯した性の世界にのめり込み、74年の生涯の内、30年以上も牢獄にいた。(サドは鞭で女性を傷づけたことはあっても殺人だけはしなかったようだ)。

ただし、貴族ゆえ、牢獄といってもかなり自由な生活が出来たらしい。長い牢獄の生活の中からやがて、数々の名作が生まれた。

まさに、サドの生涯はフランス革命期における一大奇観と言えよう。

こんなサドを見捨てずにずっと彼を助けた妻の存在も不可解であり、三島由紀夫が戯曲「サド侯爵夫人」を書いた動機になっている。

ところで、「悪徳の栄」には、難解な淫語がいくつも登場します。訳者の澁澤龍彦が苦労して編み出したものも多いようだ。「変態好き」なら下記の淫語の意味が分からないといけません。

1.初級:「菊門」「陽物」…はい、これらの意味は割と簡単でしょう。
2.中級:「裁尾」「玉門」「鶏姦」…難しい。私は文脈から辛うじて理解しました。
3.上級:「千鳥」…最後まで意味が分からなかった。レスビアンに関連した淫語らしいのですが。。




革命のライオン 小説フランス革命 1 (小説フランス革命) (集英社文庫)革命のライオン 小説フランス革命 1 (小説フランス革命) (集英社文庫)
(2011/09/16)
佐藤 賢一

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1789年直前から1791年まで、フランス革命の前半が全9巻で文庫本化している。後半の、フランス革命の終了とされる1794年、すなわちテルミドールの反動までは単行本として出ている。

不思議なことだが、西洋史のクライマックスの一つであるフランス革命を題材とした「大河小説」は、これまで無かったようだ。

歴史好きの人なら大抵はフランス革命にハマる。私もそうだ。京都大の桑原武夫を中心とした歴史研究やルソー研究など、貪るようにして読んだものだ。

「改革」という、すっかり色褪せた言葉とは別に、「革命」という言葉には今でも不思議な魔力がある。

それが思いもかけぬ日本人作家の手によって書かれた。一冊辺の分量が260ページ程度なので、持ち歩きには丁度良い。

ミラボー、デムーラン、ダントン、ロベスピエール等、革命の主役達が、各章毎に本人の視点から語られるスタイルで書かれている。

彼等がどのようなきっかけで革命に加わり、どのような出会いがあり、どのような対話や議論があったのか、フランス革命好きにとってはこれ以上の醍醐味、知的楽しみはありません。

決して難解な書き方ではなく、いわゆる日本の戦国物のように分かり易いタッチの読み物として気楽に味わえるのが有り難い。

不満もある。作者は何故かフランス革命で活躍した女性戦士を一人も登場させていないのだ。例えばフランス革命のジャンヌ・ダルクとも称されたテロワーニュ・ド・メリクールや、男女同権を唱え、「女性の権利宣言」を著したオランプ・ド・グージュも全く登場せず、無視されているかのようだ。

後半の文庫本化が待ち遠しい。女性戦士を登場させてよ。佐藤さん。


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2013.10.14 | | コメント(8) | トラックバック(0) | 文学



コメント

むう

中級までか~~。

ジャンルが違うから上級は理解出来なくてもよしとしよう。

鬼構成を期待するのはサドの本性よ。

2013/10/14 (月) 00:10:30 | URL | バルタントモゾウ #- [ 編集 ]

ジュリエット~

アナーキーな人生修行を突き進むジュリエット姉さん~~
一方、清く正しく可哀想な妹ジュスティーヌ。。。なんだけど、サド侯爵の筆にかかるとジュスティーヌが単なる愚か者に思わされる、怖い話だった
ドストエフスキーあたりで心のバランスを取り戻す必要があったな~遠い目
さて、フィギュア界で生き残るのはジュリエットな生き方?ジュスティーヌな生き方?
誰がジュリエットで誰がジュスティーヌ、っていうんじゃないのよ、念のため(笑)。
フィギュア界が「悪徳世界」に見えてしょうがないのは、組織の上部が「寄らしむべし、知らしむべからず」な不誠実な姿勢を臆面もなく通しているから、っていうのは拭いがたい事実だわ。
あ、千鳥は女性が指などで〇〇を××…以下自粛

2013/10/14 (月) 12:27:42 | URL | シジフォス #Hyf0ngDc [ 編集 ]

Re: むう

> 中級までか~~。
> ジャンルが違うから上級は理解出来なくてもよしとしよう。

で、バルタン・ド・サド変態侯爵様、「千鳥」って何ですか?

> 鬼構成を期待するのはサドの本性よ。

しかし、アンドーやゲデ子に対してはマゾの本性が出るんでしょ\(^o^)/

も、もっと、俺を踏んでクレ~ッ!打ってクレ~ッ!ってか(-^〇^-)

2013/10/14 (月) 20:13:53 | URL | 片割月 #- [ 編集 ]

片割月様、こんにちは。
お久しぶりです。
(いくつか前の記事で思い出して頂いたのがうれしくて出てきてしまいました^^(単純))

私にとって『変態』『変態的』という言葉は褒め言葉的要素があるように思われ、淡い憧れを抱かせる言葉です。
真性の変態様には「変態道は甘くないのだぞ」とお叱りを受けそうですが…。

話は違いますが、生物学、特に昆虫の領域では成長段階における形態変化の事を変態といいますね。
完全変態:  卵→幼虫→蛹→成虫
不完全変態: 卵→幼虫→(蛹を介さず)成虫

ちなみに私は悩むと引きこもって布団の中で蛹になる完全変態です、はい。

今回お薦めの本、面白そうなので私の読みたい本リストに入れさせて頂きました。
ご紹介ありがとうございます^^

P.S.
もし本当はご存知でお聞きになっているなら余計なお世話で申し訳ないですが、密林書店のサイトにて最初の本のレビューの何番目かに「千鳥」の説明をなさっている方がいらっしゃいますよ。それが本当かどうかは知りませんが。。

2013/10/15 (火) 20:17:26 | URL | アルデバラン #GRY3yc6E [ 編集 ]

Re: ジュリエット~

シジ小姉、こんばんは。

>フィギュア界で生き残るのはジュリエットな生き方?ジュスティーヌな生き方?

どちらかと言えばサディズムでありんしょう。

人間はサディズムによって、何ものかを自己に隷属させることで、自身の存在を確認・誇示したいという
本能があるような気がします。

レオノワ選手の「パイレーツ・オブ・カリビアン」や、

オクラ入りになったけど、安藤選手の「夜の女王」などにはサディズムの片鱗が伺われました。

あ、モロゾフはサドの傾向があるのかな(^O^)

<フィギュア界が「悪徳世界」に見えてしょうがないのは、組織の上部が「寄らしむべし、知らしむべからず」な不誠実な姿勢を臆面もなく通しているから、っていうのは拭いがたい事実だわ。>

そこまで考えてはいないのでは?

単に、人力、金力、気力が無いだけではないかと近ごろは思うのでありんすよ(^_^;)

>あ、千鳥は女性が指などで〇〇を××…以下自粛

ウム。。解答は二通りありそうですな(; ̄ェ ̄)

それにしても、小姉がこういう世界にも詳しいとはビツクリでありんす(゚o゚;;

2013/10/15 (火) 21:31:08 | URL | 片割月 #- [ 編集 ]

はじめまして

少し前から(スケート絡みでたどり着きました。「競技者か、芸術家か」の関する記事だったと思います)拝見していますが、はじめてコメントを投稿させていただきます。

千鳥というのは双首の張型であると何かで読んだことがあります。上位の階級の女性たちの間で好まれたものであろうとのことでした。
そこから女性同士の同性愛行為そのものを指すこともあるとか。

芸術家か技術者か、の記事には頷かされることが多くずいぶん長い文章を何度も推敲した挙句にやはり投稿をやめました。(私は芸術的な香りのするスポーツの世界の“表現性”を芸術になぞらえて考えることに懐疑的なのです。ですので、みずから芸術家タイプとのたまっちゃうタイプにも少なからず辛口で皮肉なことを考えてしまいがちなのです)

記事、スケートに限らず楽しみに読ませていただいています。

で、思いきって初投稿!が張型云々って、それってどうよ?と自分でもアレですけど・・・。

どうぞよろしくお願いします。

2013/10/16 (水) 15:24:20 | URL | 風邪薬 #aR5DLEYU [ 編集 ]

Re: タイトルなし

アルデバラン様、お久しぶりですね^^

モチ、アルデバラン様のことも覚えていますよ~(*^。^*)

「変態同盟へようこそ!」ってことで(^_^;)

>私は悩むと引きこもって布団の中で蛹になる完全変態

上手い!!座布団2枚。

ちなみに、私は体型がキリギリス系なので、何をやっても中途半端な不完全変態でありんす(・∀・)

私個人は、「悪徳の栄」よりも「サド侯爵の生涯」の方がよりスリリングで面白かったです^^

サド侯爵の生涯こそ、「事実は小説よりも奇なり」の典型です。

「千鳥」の件、ありがとうございます(^_^;)

千鳥は和歌にもよく詠まれている鳥なのですが、これからは雑念が入るわ(^O^)

2013/10/17 (木) 00:25:26 | URL | 片割月 #- [ 編集 ]

Re: はじめまして

風邪薬様、こちらこそ初めまして(*^。^*)

千鳥の件、分かりました。ありがとうございます(^_^;)

張型は江戸幕府の大奥にも存在したとのお話しもありますが、こういうことは東西を問わないのね(・∀・)

>私は芸術的な香りのするスポーツの世界の“表現性”を芸術になぞらえて考えることに懐疑的なのです。ですので、みずから芸術家タイプとのたまっちゃうタイプにも少なからず辛口で皮肉なことを考えてしまいがち

このお言葉、気に入った!!(^-^)/

辛口や皮肉は私も好き?で、よく考えることなので、どうぞご遠慮することなく、投稿して下さいね(^_^)ノ

私は、若い頃のように、芸術論をアレコレ論じるのも好きでありんす(*´∀`*)

ちなみに、みずからを芸術家タイプと曰わる脳天人間は、

ゲージュツ(芸術)ではなく、ケージュツ(軽術)と言います(-^〇^-)

2013/10/17 (木) 23:23:24 | URL | 片割月 #- [ 編集 ]

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片割月

Author:片割月
和歌を愛し、音楽を愛し、花を愛し、フィギュアスケートが大好きで、歴史・社会・文学が大好きで、ジョン・レノン、八代亜紀、ちあきなおみが大好きで、クリント・イーストウッドと映画も好きで、皮肉とユーモアも好きな変わり者アラフォー熟女ですが、よろしくお願いします。
最近は体力をつける為に、休みの日はえっちらおっちらとミニハイキングに勤しんでいます。

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