パトリック・チャンとナディア・コマネチとアランフェスと

今日は変則勤務となる。午前に出勤、そして午後は休み、夜の6時には家を出て某企業に出向いて2時間の研修を担当。研修という仕事もサービス業の一つなのでお客様の要望に沿って早朝でも夜でも仕事があれば対応しないといけないのでア~ル。トホホ…。いや、仕事が貰えることに感謝せねばバチが当たる(`・ω・´)
しかし経営者も大変だ。研修中も残業手当を支給するわけだから二重の経費が発生する。しかも社員は研修の機会を与えられたことに感謝するどころかブツブツ文句を言う。それでも社員の育成に力を注ぐ経営者の情熱は並大抵のものではない。皆、生き残りに必死なのだ。そして、フィギュアスケーター達も必死だ。





で、動画にアップされたカナダ選手権のチャン選手とレイノルズ選手の演技に釘付けになっています。
チャン選手のプログラム構成。左の数字は基礎点、右がGOE

1 4T+2T+C 11.60 1.17
2 4T 10.30 2.33
3 3A 8.50 2.00
4 CiSt3 3.30 1.50
5 FCCoSp4 3.50 1.17

6 3Lz+1Lo+3S+C x 11.77 2.10
7 3Lo x 5.61 1.40
8 3F+3T+C x 10.34 1.05
9 CSSp3 2.60 1.25
10 3Lz x 6.60 1.87
11 2A x 3.63 0.92
12 ChSt1 2.00 2.10
13 CCoSp4 3.50 1.10

技術点計 103.21
演技構成点 97.60
総合得点 200.81

う~ん、凄いジャンプ構成ですね。レイノルズ選手のは超凄まじい構成ですが。悔しいけど、現在、日本人選手でこれだけのジャンプを為し得る人はいないようです。冒頭の4T、3F+3T、2Aで少しランディングが流れたり、バランスに若干の乱れはありました。また、コレオステップの後半で小さくバランスを崩している箇所が見受けられました。しかし、全体としてはショート、フリーとほぼノーミス。まさに圧巻の演技と思います。何よりも、チャン選手の唯一の弱点ジャンプとも言える3Aをしっかり決めたこと。これが大きかったですね!
恐れ入りやの鬼子母神というところでしょう。

GOEが高過ぎるのか妥当なのかは分かりませんが、まあ、国内大会ですので、いいんじゃないですか。
それよりも、4回転・3回転のジャンプを全てノーミス、これ自体が神業でしょう。
最後の2Aがいささか竜頭蛇尾な感がありますが、ザヤックルールの関係でやむを得ないのですね。さもなくば、もう一種類の4回転を跳ぶしかありません(4Sも練習しているらしいのですが、これが定着したら恐ろしいわ)

議論が沸騰しそうなのは、演技構成点における10点満点の嵐でしょう。SSとTRはともかく他の3項目に10点満点とは摩訶不思議と。それなら高橋大輔選手は12点も14点もあってしかるべきだ、との声も聞こえそうだ(実は私だったりして^^;)

2つある元スケーター様のブログにあった解説や、最近知った白猫様、アンコウ様の優れた解釈などから、どうやら演技構成点というのは芸術性に対する評価とはかなり異なるらしい…と気がついて来ました。要するに、演技構成点というのは芸術性や表現の魅力に対する評価ではなく「表現技術」に対する評価のようです。そう考えるとチャン選手の「銀河点(イヤな言葉だがワザと使います)」に対するわだかまりもかなり解消できそうです。

もしそうだとすればテレビや新聞による報道でしばしば説明される「芸術性などを評価する演技構成点」はトンデモない誤りであって、多くのファンを誤解せた罪は深いと申せましょう。ついでに言えば女子において3Aをプロレス技のコブラツイストみたいな必殺技であるかのように「宣伝」して来たことも罪が深いよ。

しかし「10点満点」を出すことはどうなのでしょう?つまり「表現技術はチャン選手によって極められた」ということですね。これぞフィギュア界のコマネチだ。なお、前回の世界選手権で既に国際ジャッジが10点満点を出していた(新採点法になって初めてのことか)ので、カナダの国内ジャッジは「大義名分」を得たことになります。

私はその頃は現役で見たわけではなく「後学」なのですが、モントリオール五輪でコマネチ選手の演技に次々と10点満点を付けた審判に批判もあったらしい。つまり「なるほど技術という点では文句はない。しかし、彼女はサイボーグのように精密に演じるだけで、チャスラフスカ選手(当時チェコスロバキア)のような大人の女性の優雅さも表現も無い。それでも10点満点か?このままでは体操競技がおかしな方向に進むのではないか」と。

この10点満点がひとつのキッカケになり、その後の体操競技の採点法は大きく変貌することになったらしい。ずば抜けた技術を持つ一人の選手の存在が採点ルールとその運用に少なからぬ影響を及ぼした。それと同じようなことがチャン選手と採点ルール・その運用の間に生まれつつあるのでしょうか。コンパルソリーへの回帰とか、ジャンプ中心主義ではなく、スケートスキルへの正当な評価がなされているとか…どうなんでしょうね。私個人は概ねこの方向に共感はしています。

今にして思えばリレハンメル五輪での佐藤由香さんのスケーティング、ステップワークは素晴らしかったですね。ビデオ録画を何度も見ていますが、解説の五十嵐さんが「彼女は氷の削りカスが全く出ないんです。これだけのステップを踏める選手はいません」…この説明の重要性を理解したファンが、当時どれだけいたことでしょう。しかし、彼女のステップに歓声が沸き上がっていましたので、目の肥えたファンは理解したのでしょう。いま、改めて見ますと、素人目にも優勝したバイウル選手や銀メダルのケリガン選手よりも佐藤由香さんのスケーティングの方が優ると感じます。これもチャン選手、高橋選手、小塚選手の演技を沢山見てきたファンなら分かりますね。

しかしながら、ファンは素人目にも「表現の魅力」「芸術的な振り付け」「ウットリとするような演技」を望むものですし期待もするものです。チャン選手のアランフェスは「高橋大輔ほどの感動も魅力もない」とか「何を表現したいのか皆目検討もつかない」とか批判されます。私もそうした不満を感じていた一人です。

アランフェス協奏曲の2楽章は、作曲家ロドリーゴの信仰心から生まれた曲とも言われる。自分の子が重い病気に倒れた。神の酷い仕打ちに苦しんだ彼の思いは信仰を深めた形へ変化した。それが哀しくも深い祈りに満ちた2楽章へと浄化されたものと解釈する専門家もいる。

チャン選手の演技からはそうした慟哭や祈りが感じられるでしょうか。
彼にはまだ何かが足りないような気がするのですが。
いや、あまり多くを求めるのはファンの贅沢というものかもしれません。
チャン選手は昨年の大晦日に21才になったばかりです。

五輪シーズンのプルシェンコ選手のアランフェス、2004~2005年度、当時18才~19才だった高橋大輔選手のアランフェスを改めて見ました。

ううむ…。

チャン選手、もしかすると、かなり良い線を行っているかも^^;

今回、チャン選手がショートで100点越え、総合得点で300点越え、演技構成点で10点満点が沢山出たことで、カナダの国内ジャッジへの非難が再沸騰しているようです。しかし、私は少しも驚きませんでした。ロシア選手権では(皇帝に対し不遜ですが)プルシェンコ選手の持つ力の60~70割程度しかまだ発揮していなかった演技に9点台の演技構成点を奮発したロシアの国内ジャッジもかなりのものです(笑)

それと、全日本で高橋大輔選手のショートで96点台が出たことで、チャン選手の100点越えは予想されたことです。日本の国内ジャッジは比較的、国際ジャッジに準じた採点なようですね。時には国際ジャッジよりも厳しいと、批判されることもあるくらいです。自国の選手の「弱点」を世界に「宣伝」するのか!とかね。


その気持ちは分からなくもありません^^;

それよりも、ここまで素晴らしいスケート技術を身に付けたチャン選手を賞賛したいものです。

私の強い希望、期待は、世界選手権でチャン選手、高橋選手、小塚選手がショート、フリー共に4回転を跳び、なおかつ、ノーミスで演じてくれること。その時に、ジャッジが果たしてどのような演技構成点を付けるか是非見たいということです(^^♪


関連記事
スポンサーサイト

2012.01.24 | | コメント(4) | トラックバック(0) | パトリック・チャン



コメント

片割月様、こんばんは。
元々知り合ったブログの方にも書き込みがあってうれしかったです。
私が言うのもなんですが、冷静な方の意見っていうのはあの場では重要です。最近は冷静にフィギュアスケートを楽しんでいる方をちらほら見かけてうれしいです。

実は私、チャン選手の高い得点、昨シーズンほどびっくりしなかったんです。慣れってわけではなく、高橋選手も今シーズンモチベーションが高いせいか、高橋選手も益々燃えていたら世界選手権が楽しみ~と思ってしまいました。
ノーテンキですみません。

所詮、国内選手権ですから点数は気にしてません。ただ、10点はどういう意味を示しているか気になりますね。10点を出した根拠、想いをジャッジに聞きたい。あちらのコメントでも書きましたが、10点を出しちゃいけないっていうのも変だし、だけれども10点を出す勇気も…そう考えると難しい問題ですね。

2012/01/24 (火) 21:45:05 | URL | 藍色 #- [ 編集 ]

Re: タイトルなし

>藍色様、こんばんは。

> 私が言うのもなんですが、冷静な方の意見っていうのはあの場では重要です。最近は冷静にフィギュアスケートを楽しんでいる方をちらほら見かけてうれしいです。

藍色様は、本来は感受性が豊富で、喜怒哀楽の感情移入もたっぷりお持ちの方なのかなあと想像しています。それを努めて公平に、冷静に見てみようとする姿勢があって、私もとても好感を覚えます^^

> ノーテンキですみません。

「お花畑」とかのイヤな言葉で批判する人もいますね。何か、ジャッジ批判、採点批判するのが「フィギュア通の証し」であるかのような一部の風潮は、あまり共感しません。批判は良いのですが、正義の旗を振っているようでいて、本音は「自分の贔屓にしている選手に有利に採点しろ」と言っているように聞こえることがあります。

> 所詮、国内選手権ですから点数は気にしてません。ただ、10点はどういう意味を示しているか気になりますね。10点を出した根拠、想いをジャッジに聞きたい。あちらのコメントでも書きましたが、10点を出しちゃいけないっていうのも変だし、だけれども10点を出す勇気も…そう考えると難しい問題ですね。

こういう例なんですね。私がISUにもっと情報公開を望むのは。
GPFでの高橋選手のフリー演技に5点台の演技構成点を付けたジャッジにもその理由を聞きたいものです(別に責めているのではなくて)

2012/01/24 (火) 22:11:25 | URL | 片割月 #- [ 編集 ]

>喜怒哀楽の感情移入もたっぷり

確かにそうかもしれません。(汗)
真央ちゃんのことが心配で考えすぎて、階段から前のめりで落ちたことがあります。
黒アザ?つくりました。
数週間足に湿布貼ってました。仕事中だったので、労災か?とも思ってしまいました。恥ずかしいので病院にもいけませんでした。
職場の人が部屋からぞろぞろでてきました。まるでコメディドラマです。
そういえば昔顔面を柱に強打したこともあります。他人の物を手に持っていたため離すことができず、つまずいて顔面から柱に突っ込みました。打ち所がよかったのか特に何の問題もありませんでしたが、おかしいのはそれが原因かも?きゃ~。

職場の打ち合わせでも熱く語ってしまったり、かとおもえば、やけに冷静だったり…
変わった性格なのかも…

そういえば、中学の頃一つの科目を教わっただけの恩師に片割月様と似たようなことを言われたことがありました。
あの先生はかなり生徒のこと、するどく観察しているな~と思いました。ぼ~としてるかと思ったら冷静ねとか、賑やかにおふざけして盛り上げているかと思えば、敏感に受け取っているのねとか、極めつけが片割月様がいうように「感受性豊かなのね」でした。片割月様の言葉でずいぶん懐かしい記憶がよみがえってきました。

昔、同級生の男子に「毎日楽しいでしょう。」と言われたことがあります。「なぜそんなことを」と聞き返すと、「自分にはそんな面白いことは起きない」と言われました。
私は単にそれは本人の受け取り方だと思うのです。同じようなことが実は起きているのに何も感じないだけでは…と。よ~く周りを見れば平凡なように見える人生にもいろんなことが起きている。

チャン選手の演技からだいぶ脱線しました。しみじみ~過去を思い出してしまいました。
これじゃまるで「思ひでぽろぽろ」のようです?

2012/01/25 (水) 00:11:04 | URL | 藍色 #- [ 編集 ]

Re: タイトルなし

藍色様、おはようございます。

>真央ちゃんのことが心配で考えすぎて、階段から前のめりで落ちたことがあります。
>仕事中だったので、労災か?とも思ってしまいました。恥ずかしいので病院にもいけませんでした。

フフフ…。理由が理由なのに「労災」が頭をよぎるとは、中々しっかりしているじゃないですか^^

> そういえば昔顔面を柱に強打したこともあります。他人の物を手に持っていたため離すことができず、つまずいて顔面から柱に突っ込みました。

私と同じように、要領が悪いと言いましょうか、少しドジな一面もあるようですね^^;
ここも好感が持てます(ちょっと変な感情ですね)

>よ~く周りを見れば平凡なように見える人生にもいろんなことが起きている。
>これじゃまるで「思ひでぽろぽろ」のようです?

そう。平凡な日常に潜む、魔の陥穽ざんすね。世の中、努力と実力が半分、残りは運・不運があります。
フィギュアスケートを見れば分かるように、実力一番が試合で一番になるとは限りませんしね。
運の無い時は、もがけばもがくほど蟻地獄に嵌っていくこともありますし、運が向いてくれば、見た目は困難なことでもスンナリと出来てしまうことも。
ここは個人ブログですから、どうぞ遠慮なく、毒吐きでも、憂さ晴らしも、おジャべりして下さいね^^

思い出ボロボロ、本音もボロボロ、ドジをしでかし心はボロボロ、年食って身体はボロボロ、語れば語るほどボロが出て、とんだボレロかな(^^♪
これは、あちきのことでありんす。

2012/01/26 (木) 05:07:42 | URL | 片割月 #- [ 編集 ]

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

«  | ホーム |  »

プロフィール

片割月

Author:片割月
和歌を愛し、音楽を愛し、花を愛し、フィギュアスケートが大好きで、歴史・社会・文学が大好きで、ジョン・レノン、八代亜紀、ちあきなおみが大好きで、クリント・イーストウッドと映画も好きで、皮肉とユーモアも好きな変わり者アラフォー熟女ですが、よろしくお願いします。
最近は体力をつける為に、休みの日はえっちらおっちらとミニハイキングに勤しんでいます。

フリーエリア

検索フォーム

Powered By FC2ブログ

今すぐブログを作ろう!

Powered By FC2ブログ

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード

QR