3Aは諸刃の剣

2012四大陸フィギュアスケート選手権で優勝を逃した浅田真央選手。

ニュース誌より。
…フリーでは、ほかの3回転ジャンプで取りこぼしがあり、逆転を許した。佐藤コーチはトリプルアクセルにだけ集中することはリスクがあり、滑らかさやスピードなどで、まだ磨くところがあると見ている。「そこの兼ね合いが一番難しい」と佐藤コーチ…。


看板のトリプルアクセル(3A)は回転不足を取られたが、一応もう少しのところまで来てるようだ。
他に3Lzのエッジエラーを取られたかったことも、一応の収穫かもしれない。
ただし、クリーンなジャンプではなかったことで一抹の不安が残る。
世界選手権でどうなるかを見ないと、一概には喜べないと思う。

試合前からフリー演技の直前まで、マスコミは3A、3Aと煽る一方で、浅田ファンの一部からも「真央選手が跳びたいのだから佐藤コーチはいい加減、3Aを跳ばせたらどうか」との声もあった。そして「高難度ジャンプへの挑戦は貴い、次に繋がる」と、ショートプログラム、フリースケーティングの両方で3Aを跳んだことを賞賛しているファンは多いようだ。

しかし、アメリカのワグナー選手の逆転優勝を許した浅田選手のフリー演技「愛の夢」には、色々と引っ掛かるものがあった。
トリプルルッツ(3Lz)では片手を突き、不安定なトリプルサルコウ(3S)ではまたしても2回転になった。つまり、3Aを入れて3つのジャンプでミスが出たのである。

さらに、認定されたダブルアクセル(2A)ートリプルトゥループ(3T)のコンビネーションジャンプはギリギリの回転で危なかった。最後のトリプルループ(3Lo)は着氷がやや乱れた。テレビで見た限りでは、最後のスパイラルシークエンスは途中で少しバランスが崩れそうになったように思った。

つまり、技術エレメンツの加点が非常に少ないのが目立つ演技だったと言えよう。

また、演技全体のスピード感、表現のメリハリがやや稀薄で、ワグナー選手の気迫の篭った演技「ブラック・スワン」と比べ、少しアピールするものが弱かったと思う。それもあってだろうか、表現技術を評価する演技構成点では、これまで格下だったワグナー選手にも抜かれてしまった。

これは非常に憂慮すべき事態ではあるまいか?

そこで上記の佐藤コーチの言葉である。
佐藤コーチはこれからの舵取りに苦慮すると思う。
それは、来る3月末の世界フィギュアスケート選手権で3Aを跳ばせるのか、それとも回避して、他のジャンプの質の向上と、表現の強化に努めるようにコーチングするのか、である。

私は強く思う。浅田選手にとって3Aは諸刃の剣と。
クリーンに決まればもちろん、点数のプラスは大きい。
しかし、浅田選手が3Aにこだわると、たいてい、他の要素に「綻び」が生じる。
3Aの練習に取られる時間とエネルギーは並大抵ではあるまい。
他のジャンプの質を上げる時間が犠牲になろう。

小塚選手にしても、高橋大輔選手にしても、他のジャンプに問題が無い状況の中で4回転ジャンプに取り組んでいるのである。それを、浅田選手は他のジャンプに課題がありながら3Aを跳ぼうとするのである。しかも、その3A自体が完璧ではないのにだ。

浅田選手の目標は明快だ。ソチ五輪で悲願の金メダルを取ること。これ以外にない。
バンクーバー五輪でキムヨナ選手に惨敗した反省から、佐藤コーチの下でジャンプやスケーティングの基礎からもう一度見直すことになったはずである。
そのポイントは演技のウェルバランスと加点の貰える高品質なジャンプやスピン、ステップを目指すことにある。

3A頼みの演技では勝てる保証はない。それが今のルールである。良くも悪くも。
それが分かっているからこそ、フリー演技は6種類全てのジャンプ構成にしたのではないか。
その中の3Aはいつでも2Aに切り替える。

こうした「原点」に立ち戻り、3Aを棚上げしてでも再度、他の要素の強化に邁進することが、ソチの金に繋がる王道ではないのだろうか。仮に世界選手権で表彰台を逃すことがあっても、演技の中身に進化があればそれはソチ五輪に繋がるはずである。

しかし、佐藤信夫コーチには3つの重圧が立ちはだかる。
一つは浅田選手の3Aの呪縛という重圧である。
二つ目はマスコミの3A信仰という重圧である。
三つ目はフィギュアファンの多数を占める浅田ファンからの重圧である。

「3Aを跳ばせられない無能なコーチ」と言う非難が待ち受けている。

佐藤コーチには3つの重圧をはねのけても、浅田選手に王道を貫かせて欲しい。

浅田ファンの一人としての切なる願いだ。


この内容を陰謀論・八百長論が渦巻くようなサイトに投稿したら、私はたちまちフルボッコされ四面楚歌となるだろう。
「ジャッジ擁護」「隠れヨナファン」「真央下げだ」「偉そうに言うな」等の決まり文句で。。。
最後の「偉そうに言うな」は当たっているかもしれない。
もしも、この内容を浅田選手宛に送れば、だが。

※「2012フィギュアスケート日本女子ファンブック」のインタビューの中で、浅田選手は次のように語っている。

「(お手紙でファンから)応援してもらえることは、すごくうれしいことです。…中略…でもすごく悩んでいる時に、『ここがダメ!あそこがダメ!』なんて書いてあると、ちょっとへこむ。へこむ手紙も、もちろんたくさん来るんですよ。スケートに詳しい方は、けっこう多いから…」

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2012.02.13 | | コメント(6) | トラックバック(0) | 浅田真央



コメント

今回も「うんうん、その通りだよなぁと思いながら読ませていただきました。

「ジャッジ擁護」「隠れヨナファン」「真央下げだ」「偉そうに言うな」等の決まり文句を言う人は下記のような感じの人かな、と。

①物事を突きつめて考えようとせず安易に結論を出す
②自分の考えに近い意見「のみ」つまみ食いする
③論理より感情が優先してしまう
④トータルで物事を考えず目先の事象のみしか考慮しない
⑤客観性の欠如
⑥自分の意見優先で相手の違う意見を理解しようという発想の欠如
⑦自分の「当たり前」がイコール社会常識だと思い込んでいる

少なくとも社会人になったらまず先輩から矯正されるような発想ばかりですし、こういう人が上司になったら最悪です。
現実社会に当てはめてみたら、こういう人ってどの程度の割合で居るんでしょうね。
私の周りには殆んど存在しないんですけど。

で、安易な陰謀論は、ネットでは目立っていますが、日本社会全体からみたら結局はノイジーマイノリティだと私は思っています。
(マジョリティだったら日本は終っとる)

2012/02/13 (月) 10:06:09 | URL | きれじろう #- [ 編集 ]

Re: 今晩は

きれじろう様、コメントありがとうございます。

御説、ごもっともと思います。
分かり易くまとめて頂き、とても参考になりました。

ファンですから自分の応援している選手に感情移入するのは自然なことですが、他の選手への攻撃、さらには、該当選手を応援するファンに対しても攻撃する一部の風潮は…ちょっと大人げないですね。
まあ、その気持ちは分からなくもないのですが。

山本夏彦さんが「論より証拠、はウソであり、現実は、証拠より論なのである」と喝破していましたが、フィギュアファンの間でも、八百長だ!茶番劇だ!との声が強いサイトではそれが当然の既成事実であるかのようになっていますね。

>こういう人が上司になったら最悪です

この辺、ひょっとして、きれじろう様の苦い経験が見え隠れしているような^^;

上司は部下を選べますが、部下は上司を選べませんからね。
管理職の責任は重いです。また、それだけの給料も貰っているわけですし(ここが肝要)

「3Aは諸刃の剣・続き」をアップしたましたのでヨロシクね^^

2012/02/13 (月) 20:32:19 | URL | 片割月 #- [ 編集 ]

こちらのほうにも

>「(お手紙でファンから)応援してもらえることは、すごくうれしいことです。…中略…でもすごく悩んでいる時に、『ここがダメ!あそこがダメ!』なんて書いてあると、ちょっとへこむ。へこむ手紙も、もちろんたくさん来るんですよ。スケートに詳しい方は、けっこう多いから…」<


ここが気になるのよね~~。

安藤さんはトリノ以降で、ファンの意見を取り入れるようにしたように感じられる。

私の意向は安藤ファンの大勢とも、なかなか合致しないのだけどね(笑)

個人的には、安藤さんには前衛的な試みをもっとしてほしいとおもっているから、蜘蛛女はぜひやり続けてほしかったプログラムなんだけどね~~~。

ここからが本題。

へこむ理由が何なのか?

自分がしようとしていることが出来ていないことを指摘されているからへこむのか?

この場合はへこむ方が間違い。
「やっぱりそういう風に見えるのか。もっとがんばらなくちゃ」と捉えないといけない。


自分がしようとしていることが理解されていないと思えるからへこむ。

この場合は、仕方がない。
けれども
「なぜ理解されないのか?ならばジャッジにも理解されなくて当然。もっと理解してもらえるにはどこを直せばよいのか?」

と捉えなければならない。

へこむと言うことは、自信の揺らぎから来る。

それは指摘されていることに対する自覚症状があるからともいえる。

もちろん演技以外の部分であれば、へこむ必要もないのだが、それは彼女の年齢では無理だろうな。

2012/02/16 (木) 23:48:39 | URL | バルタントモゾウ #- [ 編集 ]

Re: こちらのほうにも

バルタン様らしい思考と判断が出ていますね^^

>演技以外の部分であれば、へこむ必要もないのだが、それは彼女の年齢では無理だろうな。

私はコレじゃないかと思います。

安藤選手だって相当へんこんだハズ。


>蜘蛛女

あ、これは同感!!

蜘蛛チャンは主張の斬新さによって芸術性を持ちうるプログラムだったのに。

ファンの意見を参考にして、それかあらぬか、中途半端なレクイエムに変えちゃったのよね。。。

2012/02/17 (金) 19:59:09 | URL | 片割月 #- [ 編集 ]

私は浅田選手ほど全ての要素が素晴らしい選手はいないと思います。スピン・ステップ・スパイラルは年々進化してますし。スピンの回転速度がもう少しあがれば理想的ですけど、あれだけ難しいポジションを維持しながら回るのは大変でしょうから、あまり強くは言えません。

加点や減点はジャッジの裁量でコロコロ変わるのが現状だし、個人的にはキムヨナ選手の軸がずれたスピンや難しいことをしてないステップなどになぜあれだけの加点が付くのか理解できませんでした。バンクーバーのSPの冒頭のジャンプもセカンドが完全にグリってましたけど不足はとられなかったですし。。出された点数を全て選手の自己責任にはできないと思いますよ。

今シーズンは3Aはいれずに他のジャンプの完成度を上げることのほうが重要だという意見は分かります。
マスコミの煽りはホントに迷惑です。

2012/03/08 (木) 14:39:21 | URL | ゆみ #- [ 編集 ]

Re: タイトルなし

>スピン・ステップ・スパイラルは年々進化してますし。スピンの回転速度がもう少しあがれば理想的ですけど、あれだけ難しいポジションを維持しながら回るのは大変でしょうから、あまり強くは言えません。

この辺のゆみ様のご意見、私も同感です。
私が非常に気掛かりなのは真央選手のジャンプのこと、次に表現面のことです。

> 加点や減点はジャッジの裁量でコロコロ変わるのが現状だし

ここは難しいところなのですが、私はジャッジにより採点がコロコロ変わるのは自然と思っています。
マシーンが測定しているのではないし、マシーンに測定することがフィギュアスケートという競技に相応しいとも思えないのです。さまざな価値観を持つジャッジの多数に評価される選手こそが優秀とされる競技と認識しています。

>個人的にはキムヨナ選手の軸がずれたスピンや難しいことをしてないステップなどになぜあれだけの加点が付くのか理解できませんでした。バンクーバーのSPの冒頭のジャンプもセカンドが完全にグリってましたけど不足はとられなかったですし。。出された点数を全て選手の自己責任にはできないと思いますよ。

ジャッジとて人間ですからミスが無いとは言えないでしょうし、主観もあります。しかし、選手もコーチも受けた評価を真摯に受け止め、改善のヒントと捉えて日々練習に励んでいると思うのです。
もしも、浅田選手であれ他の選手であれ、ジャッジに責任があるような言動をとる選手であれば、私はその選手の応援は止めるでしょう。

最近、小塚選手が国内ジャッジへの批判めいた言動が記事になりましたが、あれは自分の採点に対するあからさまな批判ではないので、私はさほど気にはしていません。

私も一年以上前まではゆみ様と似たような思いでしたが、今は変わりました。その辺りの事情や理由は他のスレや訪問者へのレスに書いてある通りです。

もちろん、現行のルールの問題は言うまでもなく、ISUのファンへの情報開示、サービスのあり方には改善の余地は沢山あると思います。


> マスコミの煽りはホントに迷惑です。

おっしゃる通りと思います。ただ、私は真央選手は強い心の持ち主であり、マスコミの煽りに心乱されるようなことは無いと思っていますよ。

2012/03/08 (木) 22:20:47 | URL | 片割月 #- [ 編集 ]

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Author:片割月
和歌を愛し、音楽を愛し、花を愛し、フィギュアスケートが大好きで、歴史・社会・文学が大好きで、ジョン・レノン、八代亜紀、ちあきなおみが大好きで、クリント・イーストウッドと映画も好きで、皮肉とユーモアも好きな変わり者アラフォー熟女ですが、よろしくお願いします。
最近は体力をつける為に、休みの日はえっちらおっちらとミニハイキングに勤しんでいます。

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