思わず涙ぐんでしまう音楽





シューベルト(1797~1828年)作曲「即興曲:Op.142-2」


その音楽が鳴り出すやいなや、たちまち目がウルッとしてしまう曲があります。誰にでもあると思います。

私は脳の仕組みのことは不案内ですが、音楽を聴く脳と記憶する脳とは近い関係にあるのではないかと思います。

ある曲を聴くと、子供の頃に遊んでいた原っぱの風景、友人との楽しかった旅の一コマ、恋人と肩を寄せ合って歩いた街並みの一コマ、辛かった新入社員の頃のある出来事、身近な人を亡くした時のこと等がフワーッと浮かび上がって来る場合があります。

音楽で思わず涙ぐんでしまうのは、こういうケースです。美しい音楽を聴くと特に抵抗出来なくなります。シューベルトは人の心の琴線に触れる、暖かくて美しい旋律を書く人だったから、癒されたり、慰められたり、しんみりとした気持ちにさせられます。

この曲はご存じの方がいるでしょう。最初の主題が鳴った瞬間に涙腺が緩みます。まるで、物思いにふけながらあてどもなく彷徨する詩人の歩みのようです。

メヌエットなんだそうですが、何も知らずに聴くとこの曲がメヌエットとは気がつかないのではないでしょうか。それくらい曲の旋律の存在感は圧倒的です。

シューベルトの特徴は、聴く人の心を揺さぶる長調→短調→長調の交差と、何気ない分散和音のパッセージの煌めくような美しさにあるのではないでしょうか。この曲の中間部の分散和音もそうです。

「4つの即興曲Op90」と、「4つの即興曲Op142」の計8曲は、どれも同じくらい素敵ですが、私はOp142-2が特に好きです。

気持ちが落ち込んでいる時、昂る気持ちを鎮めたい時、疲れている時、こんな音楽が聴きたくなります。

CDは、ラドゥ・ルプーによる美しい演奏をひたすら聴いて来ました。1982年録音なので、音質という点ではさすがに古びて来たようですね。速度指定はアレグレットですが、演奏家によって速度はまちまち。あまり速くてはぶち壊しで付いてゆけません、遅いのも眠くなります。

上記の動画くらいの速度が私にはピッタリ来ます。





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2015.07.06 | | コメント(8) | トラックバック(0) | 音楽



コメント

感動する曲

片割月様

私もルプのファンです。

クラシックを聴き始めたのが遅かったので、(80年代は当時はやりの英国のファッションバンドのコンサートによくったものです。)経験は浅いですが、それでも最初のころはコンサートでは分かったような顔をしてかっこつけて聞いたものです。その私が初めて本当に(笑)感動したのがラドゥ・ルプのピアノリサイタルでした。 ピアノもあそこまで鳴らしてくれたら本望だろうと思うぐらい、ピアノが生き物のようだった。
それが「ブレイク」となってクラシック音楽が楽しめるようになったような気がします。

5年ぐらい前のトロントシンフォニーとのベートーベンの3番のルプも素晴らしくて、楽団のメンバーがビジネスを忘れて、音楽家として演奏を楽しんでいるのが感じられるほどだったです。

聴いてこみあげてくるような曲。

ありきたりですが、ホロビッツがモスクワに帰った時のこれ。
https://www.youtube.com/watch?v=XU_ccvjxq6o

ミュージカルではマイケル・ボールのこの曲
https://www.youtube.com/watch?v=ljijk2T8zV4
いつ聞いても感動する。
このコンサートの出演者は皆凄い。 DVDがあると思うのでお勧めです。

オペラは曲を聴くと涙が出るという人が良くいますが私は修業が足りなのでその境地にはまだですが、「夢遊病の女」のナタリー・デッセイのこのアリアには引き込まれました。
https://www.youtube.com/watch?v=pouHB3wImTc

2015/07/06 (月) 14:00:15 | URL | kan kan #E0/upmTg [ 編集 ]

記憶は奥深い

片割月様、こんばんは(^^)

ご紹介の曲は多分初めて聴きます(^^;)
とても親密な雰囲気の優しい曲ですね。

特別な記憶や思い出がある訳ではないけど
聴いた瞬間にいつも涙が出てきてしまうのは、
白鳥の湖のフィナーレ、以下の動画の3:10~の所です。

https://www.youtube.com/watch?v=ZBtJyfgkZt4

この前、久々にオーケストラの演奏を聴きましたが、
楽器の音色って何て素晴らしいんだろう、と
生演奏に感動して涙を堪えるのが大変でした。

片割月様おっしゃる通り、音楽と記憶の関係には驚かされますね。
(それと匂い(嗅覚)も!先日、ある匂いから幼稚園の時の記憶が思い起こされて、当時履いていた靴やカバン等が鮮明にありありと浮かんできて
潜在意識の奥深さに唸りました。)

それと記憶に関してですが、初対面なのに「この人前に会ったことある。」とか何か懐かしいと感じた事ありませんか?
私はそう感じたことがあって、その人とはごく自然な感じで付き合い始めました。(結局、その後別れちゃいましたが(^^;))
前世の記憶とかそういうのあるのかなと思いました。

追伸:美姫ちゃんの動画のご紹介ありがとうございました。
トリノのフリー、蝶々夫人だったのですね。
私もヤマグチさんの蝶々夫人が一番いいなと思います。

2015/07/09 (木) 00:01:13 | URL | Moeri0807 #- [ 編集 ]

テンション

シューベルト「即興曲:Op.142-2」の出だしは、A♭メジャースケールでメロディはE♭ A♭ A♭ B♭ の4音で始まるが、この B♭ がテンションの9thではないだろうか。
9thによって独特な響きが生じているように思われる♪

2015/07/09 (木) 06:42:54 | URL | ファントム #- [ 編集 ]

Re: 感動する曲

kan kan様、こんばんは。

そうだったんですか!
ルプのコンサートに行かれたとは、羨ましい限りですね^^

CDと生演奏とでは全く違うでしょうから、どんなにか素敵だったことでしょう。

おお!シューマンの!!うーむ。分かるなあ。

ホロビッツはトロイメライが好きだったようですね。

私は例のカーネギーホールだったかの演奏CDで聴いています。

前にもやりとりしたことがあったと思いますが、日本では巨匠クラスの演奏会チケットはバカ高でとてもとても。。。

2015/07/10 (金) 05:09:15 | URL | 片割月 #- [ 編集 ]

Re: 記憶は奥深い

Moeri0807様、こんばんは。

>聴いた瞬間にいつも涙が出てきてしまうのは、
白鳥の湖のフィナーレ、以下の動画の3:10~の所です。

分かります!とてもロマンに満ちた音楽ですよね。それでいて、どこかもの哀しげな色調も感じさせて。

ストーリーを知らないで聴いていた時、ここは恋人が二人とも死んで昇天して行く場面かしら?
と勝手に想像していましたが、そんな感じもする楽想ですね。

生で鑑賞されたとは羨ましい限り。
私は先日、NHKの衛星放送で放映された日本の新国立のバレエによる白鳥を見ましたが、
やはり、次から次へと流れてくる美しい音楽にうっとりしました。

>初対面なのに「この人前に会ったことある。」とか何か懐かしいと感じた事ありませんか?
私はそう感じたことがあって、その人とはごく自然な感じで付き合い始めました。

うーむ。これは私には無い体験です^^

でも、最初に出会った時からうまが合って、すぐに打ち解けられる人間関係はありますね。

ずっと前から知り合いであったかのような。。それに近いのかな。

2015/07/10 (金) 05:21:28 | URL | 片割月 #- [ 編集 ]

Re: テンション

ファントム様、こんばんは。

分析家?のファントム様ならではのコメントでありんすな^^

わたし、難しいことは分かりませんが、単に旋律が美しいだけでなく、
それを支えているハーモニーのひそやかな動きこそが美しさの原動力なんでしょうね。

2015/07/10 (金) 05:24:38 | URL | 片割月 #- [ 編集 ]

4度音程始まり

月女さま

こんばんは

この曲は4度音程始まりますが、この出だしは何かに似てますね。
                   
                   (※後の作曲者が調を変えていますが)

そうです「結婚行進曲」で~す(^^)

2015/07/19 (日) 22:22:56 | URL | ファントム #- [ 編集 ]

Re: 4度音程始まり


> この曲は4度音程始まりますが、この出だしは何かに似てますね。

> そうです「結婚行進曲」で~す(^^)

うう。。。むむむ。。。ブヒッ(^_^;)

2015/07/24 (金) 00:49:02 | URL | 片割月 #- [ 編集 ]

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プロフィール

片割月

Author:片割月
和歌を愛し、音楽を愛し、花を愛し、フィギュアスケートが大好きで、歴史・社会・文学が大好きで、ジョン・レノン、八代亜紀、ちあきなおみが大好きで、クリント・イーストウッドと映画も好きで、皮肉とユーモアも好きな変わり者アラフォー熟女ですが、よろしくお願いします。
最近は体力をつける為に、休みの日はえっちらおっちらとミニハイキングに勤しんでいます。

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