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ドラマ「レッドクロス」の感想&戦前・戦争を題材にしたお勧め本6冊





TBSドラマ「レッドクロス:女たちの赤紙」公式サイト
ここです

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実は、私はドラマの第二夜だけを見ました。そして、第一夜を見逃したことを、どこかの首相の言葉ではないけど、「痛恨の極み」と悔しく思いました。

そもそも、「レッドクロス」という題名にピンと来なかったんです。やがて、赤十字のことか?と推測しましたが、赤十字(どうせ、赤十字の美談話しの類だろうと)にはさほど関心が無く、見たいとまで思いませんでした。失敗した!!

第二夜も家事をしながら、たまたまチャンネルを回したら、どうやら日中戦争が舞台になっている様子なので、「おおッ、これは…」と俄然興味が湧き、家事を放り投げて見入ってしまいました。いやあ、これはなかなか重厚なドラマでした。

大東亜戦争時に召集されて満州に渡った従軍看護婦たちのドラマ。史実をかなりリアルに踏まえつつ、戦争の悲惨さ・残酷さ、そして戦争によって引き裂かれる母と息子の悲劇が重くのしかかって来る力作と思いました。

昨今の右傾化した日本の世情の中、日中関係が悪い時代に、よくぞ中国や共産党八路軍を登場させ、反戦ドラマを制作できたものだと、制作者の心意気に拍手をおくりました。

あくまでフィクションのようですが、満州に渡った従軍看護婦たちが戦争末期に中国八路軍に捕らえられてそのまま看護婦として働かせられた事実はあるそうですね。

主演の松島菜々子さんは「ミスキャスト」との批判もあります。そうかもしれない。また、ネトウヨからは「反日ドラマ」「偏向している」等の非難が寄せられているらしい。ネトウヨから非難されるドラマであれば良いドラマ、というのが私の見解です。ネトウヨに言わせると、NHKの戦争をテーマとした数々の特集番組でさえも、「反日で偏向している」そうだ。反戦を装った戦争美化ドラマ「永遠の0」の嘘っぽい綺麗事よりも、「レッドクロス」の方に私は感銘を受けました。

再放映されないかなあ。。あるいは、ツタヤでDVD貸し出しになればと願います。


●私がお勧めする戦前や戦争を題材にした図書を6冊ほど紹介します。

文庫本か新書版のように、比較的安価で手に入れ易いものを。

吉村昭「蚤と爆弾」(文春文庫)
細菌部隊として知られる731部隊の実態を、吉村昭が綿密な取材に基づき小説化したものです。このテーマは、森村誠一「悪魔の飽食」(角川文庫)や、ジャーナリストの青木冨貴子「731―石井四郎と細菌戦部隊の闇を暴く―」(新潮文庫)でも取りあげられていますが、吉村はそれよりも早い1970年に本書を発刊しています。
 
この本で取りあげられた将兵たちは全て東京裁判から免れている(アメリカ軍部との裏取引があったとの説がある)が、例によって、「細菌実験や生体解剖は日本だけが犯した問題ではない、どこの国でもやった」との言い訳があるらしい。この反省のない「悪魔たち」が後に、薬害事件を起こしていることを忘れてはならないと思います。

吉村昭はことさら「反戦」を声高に訴えることもなく、ことさらドラマティックに描くこともなく、淡々とした筆致で細菌実験や生体解剖の実態、そして命がけで人体実験から逃げる捕虜(マルタと言われる)たちと、彼等を追いかける日本兵士の姿を描いています。だからこそ、読み手にはその恐ろしさがじわじわと迫って来ます。


高井有一「この国の空」(新潮文庫)
今夏、映画化され上映予定の原作です。戦争末期の東京で、母と娘の日常生活が細やかに、そして淡々と描かれています。作者は子供の頃に戦争末期を体験していて、その体験がこの小説に生かされています。配給のことや疎開のことで一喜一憂する姿。焼夷弾で焼け出された伯母と母との複雑な関係。戦争を知らない私でも、「これは本物の話だな」と分かります。「永遠の0」のような、作り物のお涙頂戴式ドラマや兵士の英雄譚を期待する人にはお勧め出来ません。


井伏鱒二「黒い雨」(新潮文庫)
やはり、名作です。広島に原爆が落ちてから5年程が経った時点での広島市民の日常生活と静かに進行する原爆症の恐ろしさが、これも細やかな筆致でたんたんと描かれています。描写があまりに細やか過ぎて、少々退屈することもあるくらいです。

上記3作品の共通項は、ことさら反戦を訴えるのではなく、ドラマティックに描くのではなく、淡々と抑制された筆致による小説だということです。だからこそ、リアリティがあるのでしょう。


城山三郎「男の本懐」(新潮文庫)
戦前、金輸出解禁に命を賭けた浜口雄幸と井上準之助の生き方を描いた小説。力作です。二人は右翼のテロによる凶弾に斃れる点でも共通しています。大正から昭和初期には日本に政党政治が行われ、民主主義が進みました。しかし、満州事変を境に、あっという間に政党政治は瓦解してしまいました。二人のような有能な政治家や経済人(他に犬養毅、高橋是清等)が右翼や軍部のテロに斃れ、無能な政治家と頭に血の上った軍部とメディアにより民主主義は崩壊し、無謀な戦争へと進んだ史実は現代の私達にとって、「過去という額縁」に納めてしまうものではなく、今の教訓として生かされるべきものだと感じます。、

なお、浜口内閣の時に、「婦人参政権」が提案され反対多数で否決されたことは重要な史実です。つまり、戦後の婦人参政権は「アメリカGHQによる民主化の贈り物」というのは完全には正しく無いという根拠の一つになります。

なお、城山三郎は「落日燃ゆ」の広田弘毅を描いた小説でも言えることですが、登場人物に「惚れ込んでしまった」為か、少々美化されているような気がします。そこは多少、差っ引いて読んだ方が良さそうです。


幣原喜重郎「外交五十年」(中公文庫)
幣原喜重郎は戦前に外交官・外務大臣として活躍した。敗戦後すぐに首相となり、新憲法の起草や婦人参政権の実現に関与した。国際協調路線の「幣原外交」は欧米からは信頼されたが、日本の軍部やタカ派政治家から「弱腰外交」と非難され、右翼のテロのターゲットの一人になっていた。幣原喜重郎は幸運だったらしい。

これは実に面白い内容です。幣原喜重郎はユーモアのセンスがあったようで、外交の裏話やエピソードを愉快に描いています。また、浜口雄幸が右翼のテロに襲われ、「男の本懐です」とつぶやいたとの話は、現場にいた幣原喜重郎が証言しているのです。

また、新憲法が必ずしもアメリカからの「押し付け」と言い切れない面があることは、この本からも推測されます。彼は、「中途半端な軍備であれば防衛的に無意味であり、国費の無駄使い。いっそのこと、ゼロにした方が良い」と言い放った政治家だったようです。こんなことを言えば、右翼から狙われても当然だったでしょう。


高見順「敗戦日記」(中公文庫)
作家の高見順による、昭和二十年一月~敗戦の八月十五日をはさみ、十二月まで、鎌倉の地で書かれた一年間の日記。

読んでいて不思議なことがありました。高見順はたびたび鎌倉から東京・銀座に足を運んでいるのですが、この頃の東京は空襲がたびたびあって破壊が進んでいたのにもかかわらず、横須賀線や京浜東北線は動いていたんですね。焼夷弾が多かった為か、線路はあまり破壊されなかったのでしょうか。

敗戦直後、十月二十日の日記に書かれた興味深い個所。戦争中は日本兵は女性から大いにモテた。それが、敗戦を境に日本兵は無視され、アメリカ兵がモテるようになった。酒に酔ったアメリカ兵が若い日本女性の駅員2人を手招きする。周囲の日本男性はゲラゲラと笑い、二人の若い女性はアメリカ兵に媚態を示す。これを見た高見順は憤慨する。

高見順「…なんともいえない恥ずかしい風景だった。この浅ましい女どもが選挙権を持つのかと思うと慄然とした。面白がっている男どもも、…南洋の無智な土着民以下の低さだ。日本は全く、底を割って見れば、その文化的低さは南洋の植民地と同じだったのだ。(日本人は)自惚れていたのだ。私自身自惚れていたのだ…」

この高見順の憤慨をどう思いますか?私は他人事では無いように思います。

敗戦で荒んだ高見順の自虐的心境を表すものでしょうか?

作家らしく理性的でさめた視線による感慨でしょうか?

現代日本は、当時の「南洋の土着民以下の文化的低さ」と比べ、文化的に高くなったのでしょうか?

それとも、「底を割って見れば」、相変わらず低いのでしょうか?

今も「自惚れて」いるのでしょうか?




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2015.08.05 | | コメント(2) | トラックバック(0) | 文学



コメント

土着民並みですね、きっと

一昨日「結膜炎」の症状が出たので近くの眼科に行きました。老若男女物凄い待合室の混雑でした。待合室には大型液晶TVがずっとNHKの番組を流していました。受付待ちの多くの患者さん達は連ドラや「面白くもない料理番組」には反応して多くが観ていましたが、番組が「国会中継」に変わると殆どの患者さんは雑談や週刊誌の奪い読みになり2~3人くらいがやっとチラ見している程度でした。あれでは賛成も反対も判断しようがないな、いくら説明したって聞かないな、南洋の土着民「程度」だな、とこのブログを思い出しました。(^^♪

2015/08/07 (金) 12:35:50 | URL | チャンプ #- [ 編集 ]

Re: 土着民並みですね、きっと

チャンプ様、こんばんは。

結膜炎!? お大事にね^^;

>番組が「国会中継」に変わると殆どの患者さんは雑談や週刊誌の奪い読みになり2~3人くらいがやっとチラ見している程度

なるほどね。さもありなん。

政治に関心の無い私の友人が、珍しく国会中継を見てる!と言っていたけどねえ。。。

>このブログを思い出しました

そんなんで、私のブログを思い出すか!!

喜んで良いのやら。。。(^_^;)

2015/08/09 (日) 00:23:58 | URL | 片割月 #- [ 編集 ]

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Author:片割月
和歌を愛し、音楽を愛し、花を愛し、フィギュアスケートが大好きで、歴史・社会・文学が大好きで、ジョン・レノン、八代亜紀、ちあきなおみが大好きで、クリント・イーストウッドと映画も好きで、皮肉とユーモアも好きな変わり者アラフォー熟女ですが、よろしくお願いします。
最近は体力をつける為に、休みの日はえっちらおっちらとミニハイキングに勤しんでいます。

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