2015フィギュアスケートGPSアメリカ大会の感想
男子シングル。伏兵がいました。いや、伏兵は失礼ですね。
アーロン君。
GPS初優勝、おめでとう!地元大会だけに喜びも大きかったでしょうね。
ショートもフリーもプログラムは、「えッ?この選曲は…???彼にはミスマッチでしょう」と思いましたが、まあ、そんなことはどうでもよくなるくらいに、会心の演技でしたね。暴走スケートを抑え、一生懸命に曲想を表現しようとしている努力に頭が下がります。フリーで愉快だったのは、3つ目の3Loを跳んだ後に、右手を伸ばして頭を右側にピクッと、次に左手を伸ばして頭を左にピクリ。黒鳥の羽ばたきを表現しているのかな?ピクピク振付には笑いました。ショートで、4Sに3Tが付けられたのが大きい。これは村上大介選手にも目指して欲しいところですね。
ブラウン君。
3つのスピンは全て「チェンジフットスピン」というマックスの構成でした。現在、最高のスピナーは彼でしょうね。女子よりも美しいスピンが出来るのは素晴らしいです。「フィギュアは美を競う競技」との謂いは決して間違いではありません。
オイッ、国際ジャッジの御一行様よ!GOEの加点、もっと付けてやれよ!ヽ(`ω´*)ノ彡☆
無良君。
まだ体調が万全じゃないのかな?今大会は残念な結果でしたが、過去の実績では彼はシーズン当初が好調だと、後半が不調になる「癖?」があるようですから、出だしが不調であれば、後半戦で期待できることになります^^。3年前までは、ステップシークエンスでここまで魅せられるスケーターになるとは想像も出来ませんでしたよ。
宇野君。
ノービスの時からそうですが、凄いですよね。とにかく凄いわ(*゚ロ゚)(*゚ロ゚)(*゚ロ゚)。コメント不要。
マイナー君。
いかにも北米的な滑らかスケーティングは見ていて心地よい。いわゆるダンサータイプではないので、4回転ジャンプをものにしないと、ちょっと苦しいですよね。頑張れ!ヽ( ´_`)丿
メンショフ君。
年齢は32歳でしたっけ?とにかく、頭が下がります。何が彼のモチベーションを支えているんだろう?
話は逸れますが、彼とアルテミエワ選手との恋仲はオープンですよね。良いことです。日本では考えられません。日本なら隠すでしょうね。オープンにしたらアレコレと言われるんでしょう。フィギュア関係者からも一部の心無いフィギュアファンからも。そしてマスコミからも。安藤美姫さんの例を見ればわかります。
ビジネスマンの場合でも、いわゆる「社内恋愛」がネガティブに見られる傾向がいまだにあります。組織にマイナスだと。
で、二人は、何か悪いことでもしているかのように、コソコソとしていなければならない。周囲は二人の関係をヒソヒソと噂する…私はこういう日本の習慣、大嫌いです。コソコソ、ヒソヒソ…暗いよね。
女子シングル。再び、「ジャッジの陰謀が~!」の叫びが聞こえて来そうな採点が^^;
宮原さん。
日本人の身びいきかもしれませんが…彼女の演技が一番美しかったと思います。女性らしい柔らかさ。細やかさ。心のこもった演技。こういうのは「フィギュアの美」と直リンクするとは限らず、得点には必ずしも結びつかないのかもしれませんが、これぞ女子フィギュア!って思います。フリーでは観客の拍手が多かったように聞こえました。彼女は超小柄ではありますが、手足が適度に長く、体型はやや細身とはいえ、蚊トンボのように細いわけでもなく、バランスが良いですね。これも表現の上で良い効果をもたらすのでしょう。さらに、スピン技では海外選手に見劣りする場合が多い日本女子選手にあっては、宮原選手のスピンの上手さは特筆すべきことかと思います。あとは、ジャンプにもっと高さがあれば…ネ。
フリー後半の単独3ルッツのミスですが、羽生選手のケースと同じですね。踏み切る時に身体の軸が前傾姿勢になり過ぎて、素人目にも、「あ、ミスる」と分かるくらいでした。不思議です。宮原選手や羽生選手程の一流スケーターでも、こういうことがたびたび起きるのですね。本人はおそらく跳ぶ前に身体の軸がこんなに傾斜しているとは思っていないのでしょうから。
今井さん。
彼女を見ていると、トップクラスのスケーターでいることが如何に特別であり、大変なことであり、凄いことかと感じます。GPSに出場すること自体が凄いことなのですから。しかし、ミスがいくつも起きれば、「なーんだ!」と見られてしまう。厳しい。コーチとの都合が合わず、新潟のリンクで自主練習が多いとの噂を聞きますが、どうなんでしょうね。。。
ゴールドさん。
演技後半、スパイラルからそのまま踏み切る単独3ルッツが鮮やかに決まりましたね^^。彼女も、「これぞ、ルッツ!」とでも言いたくなるような助走軌道から3ルッツを跳ぶ選手の一人。見ていて快い。
昨シーズンのパゴリラヤ選手の「火の鳥」の残像がある中でゴールド選手の「火の鳥」を見ると、ロシア味と北米味の違いを感じてしまいます。具体的に上手く言えないのがもどかしいのですが。前者が土の香りが漂う「火の鳥」なら、後者はオシャレな「火の鳥」でしょうか。衣装もそうですよね。どちらも私の好きなスケーターですが、「火の鳥」についてはパゴリラヤ選手の方に軍配を上げたくなります。技術的にはゴールド選手の方が上であるとしても。ところで、ステップ中の「ガニ股」仕草はよしてよ。
トゥルシンバエワさん。
お顔は和服の似合うスナックのマダムで、首から下はランドセルの似合う小学生体型というアンバランスが魅力です。彼女とロシアのメドベデワさんで、女子フィギュア界のカマキリ体型を競っています。そして、豊かな才能も競っています。ただし、「愛嬌をふりまく」という点ではメドベデワさんに負けているようでありんすえ。もっと笑ってくれなんし。オッ!オーサーコーチとちゃんと英語で会話しているようですね^^
チェンさん。
アーロン君も真っ青になる暴走スケーティング!そして、スピードを生かした大きなジャンプ!軸がしっかりして、なおかつ回転がめちゃ速いスピン!これぞ、スパイラル…片足が真上に上がるポジションの美しさ!しかして、音楽が半ばBGMと化しても気にしない度胸の良さとケレン味の無い演技!若いって素晴らしい。願わくば、もう少し演技全体のコントロールが利くようになれば、凄いスケーターになりそう。あちきは、彼女にずっと注目しているのでありんす。
チャートランドさん。
私は彼女のステップシークエンスを見るのをいつも楽しみにしています。こんなに豪快で男性的?なステップを踏む女子選手は稀です。およそ、宮原選手のステップとは対照的ですが、チャートランド選手のステップは宮原選手に劣らぬ世界だ。これもまた、フィギュアの素敵なところです。気の強そうな風貌ですが、やはり、彼女も女の子。泣きますね。3Aの挑戦…その意気込みは良し!が、従来の3回転ジャンプの安定感と回転不足を解消することの方が大切と思います。
リプニツカヤさん。
何という美しいお嬢様に変貌したのでしょう!しかし、ショートプログラムの派手派手衣装にはぶっ飛びました。フリーの真っ青衣装も少々疑問です。せっかくの美貌が台無し。この点、メドベデワ選手の衣装センスの良さはロシア女子では例外的かも。
ジャンプに苦しんでいるようですが、問題はルッツとフリップですね。彼女程の才能であれば、乗り越えて欲しいです。
メドベデワさん。
シニアデビューの初戦であっさりと優勝。凄いわw(゚o゚)w。おめでとう!
上手いですよね。およそ早熟揃いのロシア娘にあって、彼女はラジオノワ選手並みかそれ以上の早咲きでしょうね。ステップシークエンスの上手さ、素人目にも高度なエッジワーク。スピンももちろん上手い。そして豊かな表現性。どこかアジア風なお顔に愛嬌もある。カマキリだかキリギリスだかのか細い体型もまったく気になりません。シニアのトップスケーターも恐れ入るのでは?高い演技構成点が出ていますが、私は、「それくらいの高い評価、いいんじゃないの」と思える方です。
メドベデワ選手の演技構成点の「爆上げ?」については、別途記事にする予定です。
まったく、メドベデワ選手は、「憎きフィギュアの巧者かな」と、私はひたすら歯がみするばかりです。もちろん、これは率直で忌憚の無い誉め言葉ですよ。※
ただし、私は前にも取り上げたように、彼女のジャンプだけは好きじゃない。美しくないんですよね。タノタノ音頭でますますジャンプの美しさが減殺されていると思います。何か、強引に高く飛んで、ドスン、と降りているようなジャンプ。その中では、タノを入れない3Loが一番美しいジャンプと思います。タノを入れなくても、しっかりとGOEの加点は貰えていますよね。
メドベデワ選手のタノ入りジャンプと、タノ無しのチェン選手や樋口選手のジャンプを比べて見て下さい。
※
トリビアな知識。
この話は平家物語だったか、保元物語だったか…源為朝が敵の武将に対し、「憎き剛の者かな」と歯がみをした。さて、為朝は相手を誉めたのか、腹を立てたのか?答えは、「あっぱれ。剛勇の士かな」の意味。為朝が歯がみするくらい強かったのです。
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2015.10.26 | | コメント(14) | トラックバック(0) | フィギュアスケート・大会