私の好きな歌・その6

うち日さす宮道を人は満ち行けど 我が思ふ君はただひとりのみ

                                        万葉集



※「君」とあるので、これは女性の歌であろう。経験者なら誰でも分かると思うが、身を焦がすような恋をした女は「我が思ふ君」以外の男は目に入らぬものだ。久しく逢えぬ恋人を想う切ない女心が見事に歌われている。

1300年も前に詠まれた歌だが、何というモダンさであろう。現代人の作品として発表してもそのまま通じるであろう。こんなに遥か昔の歌を私たち日本人がさほど難なく味わえるのは、世界的に見ても稀な幸運と言えそうだ。

高校の古文の授業では、相も変わらず今もあの「百人一首」を暗記させられているのだろうか?
それよりも、この歌を味わうだけでも生徒達の和歌に対するイメージが一変するのにと、惜しいことである。



君に似し姿を街に見る時の こころ踊りをあはれと思へ

                                      石川啄木





※こちらは対照的に男の立場からの「我が思ふ妹」への恋心を詠んだものだ。
啄木は街中で、一瞬、恋人の姿を見たと思った。ドキッとした。心がときめいた。しかし、他人のそら似であった。

しかし、ここには「そら似」であった女性に図々しくも心が少しばかり惹かれた男の本音、浮気性も垣間見える…とするのは少し穿ち過ぎた感想だろうか?。

「あはれと思へ」には、身勝手な男が女に「許しを請う」姿を彷彿とさせる。



一途で哀しい女心と浮気心を覗かせる男心と…2首の短歌は対照的だ。



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2012.03.14 | | コメント(0) | トラックバック(0) | 文学



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片割月

Author:片割月
和歌を愛し、音楽を愛し、花を愛し、フィギュアスケートが大好きで、歴史・社会・文学が大好きで、ジョン・レノン、八代亜紀、ちあきなおみが大好きで、クリント・イーストウッドと映画も好きで、皮肉とユーモアも好きな変わり者アラフォー熟女ですが、よろしくお願いします。
最近は体力をつける為に、休みの日はえっちらおっちらとミニハイキングに勤しんでいます。

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