NHKは頑張っている:愚見を少々




NHKスペシャルの「731部隊の真実」と「樺太地上戦」を見ました。実に見応えがありました。また、当時の政治・軍部指導者に対する強い怒りを改めて覚えました。三夜目には「インパール作戦」が放映されます。


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●私は学生時代に、森村誠一著「悪魔の飽食」(角川文庫)を読んだことがあります。
旧日本軍の731部隊による細菌を使った様々な人体実験、中国人捕虜を生きたまま解剖、そして、「実験死」した捕虜を焼却等々、まるでナチスのユダヤ人捕虜収容所そっくりの残酷シーンのオンパレードに気分が悪くなりました。また、書かれている内容について、「本当なのか?」との疑問を抱きました。「我が日本兵士がそんな残虐なことをするだろうか?」との、素朴な反発もありました。半信半疑のまま、当時の私の関心はそこまででした。

その後、大東亜戦争に関する多くの著作や記録本を読むにつれ、「信じたくないけど、やはり、あれは本当にあったのであろう。」と思うようになりました。

「憎悪と差別意識」…人間の心にこの二つが強く存在する時、どんな平凡な人間も悪魔や阿修羅になり得ると先の戦争が教えていると思うからです。

そして、「憎悪と差別意識」は、「愛国心」と裏表の関係にあることを強調したい。現代でも「愛国心」を煽る人間に限って、近隣諸国や在日コリアンに対する憎悪や差別意識が露骨です。


●樺太地上戦では、一億総特攻の名の下に女子供まで「義勇軍」にさせられました。しかも、武器は槍と手榴弾(主に自決用)。義勇軍と言えば聞こえは良いが、要は、現代のテロリストが用いる卑劣な「人間の盾」と本質的には同じと思います。「軍隊は国民の生命と財産を守る」は、真っ赤な嘘です。

出来れば、「人間の盾」の中には、「日本国民にさせられた」朝鮮人が多くいたことにもNHKは触れて欲しかったですね。1時間弱の番組では限界もあったのかもしれませんが。


●昭和史を研究している保阪正康氏がインタビューで語っていたように、命令を受けた末端の兵や軍属、一般市民ほど「日本を命がけで守ろう」との責任感が強かったこと、命令を下した側の上層部の者ほど責任の所在があいまい(要するに無責任)なままにされて来たこと、こうした責任の所在を明確にする必要があること…これが重要だと思います。

命令を下した側の将軍が責任を問われない…これはインパール作戦についても当てはまりますね。私は、戦争史を研究していた高木俊朗の「インパール」や「陸軍特別攻撃隊」を読み、当時の軍部指導者達の無責任体質に憤りを覚えたものです。

日本の無責任体質は現代の政治家や官僚に引き継がれています。欧米の政治家が日本の政治家との交渉で惑わされるのは、「この案件の責任者は誰ですか?」と尋ねても、明快な返事が無いことらしい。米中国交回復で活躍したキッシンジャー氏も著作の中でそのことを力説していたのを覚えています。

上に立つ者ほど責任が重く、過ちに対しては重い罰を受ける…これが普通と思うのですが、日本では上ほど責任が免れるシステムに今もなっているようです。


●NHKは先の世界大戦に関する優れたドキュメント番組をいくつも制作して来ています。「日本バンザイ!」的体質を持つ安倍政権下にあって、安倍首相による「オトモダチ人事」に侵されたNHKにおいて、こうした番組が継続して制作さることについては大いに評価したいですね。

なんのかんの言っても、日本人の多くは民放よりNHKの方を信用しているでしょうから、影響力が違います。


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出来れば、「南京大虐殺」についてもNHKは制作して欲しいものです。あの保守的な読売テレビでさえ、2015年10月4日に、「南京事件:兵士たちの遺言」というドキュメント番組を制作しています。例によって、「南京大虐殺は無かった」とする産経新聞は読売テレビにイチャモンをつけていましたね。


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●上で紹介した著作の他では、私が強く推薦する名著が藤原彰「餓死した英霊」(青木書店)です。
大東亜戦争で戦死した日本兵士の数は200万を超えるそうですが、その過半数が餓死もしくは栄養失調による病死だったという。戦死者・餓死者の多数はマリアナ海戦の敗戦で日本の絶対防衛圏が崩壊してかららしい。

200万を超える日本兵士の多くは、アメリカを中心とした連合軍によって殺されたのではありません!

日本の政治・軍事指導者によって殺されたのです!!

何故か?

「降伏」を言いだせば、自分達が血気盛んな若手将校から殺される…これが恐かったからですよ。降伏して自分達が死刑になるのが恐かったからですよ。

それゆえ、マリアナ海戦で敗北し、サイパン陥落以後、日本は負けると分かっていながら降伏せずに戦争を続け、無駄に多くの日本人を死なせたのです。広島と長崎に原爆が落ちてもまだ!

下の兵士達には「死ね!死ね!」と、「天皇の名の下で」強要しながら、テメエ達は死ぬのはイヤだった。

こんな愚劣な政治・軍事指導者が存在したことに、同じ日本人としても怒りを覚えます。


「永遠の0」だの、「ミッドウェー海戦はこうすれば日本軍は勝てた」だの、「旧日本軍は強かった」だの、こうした類の本が大いに売れ、「餓死した英霊」のような真の名著が売れない…残念です。

しかし、仕方ないのかもしれない。

人は、私も含め、「胸が悪くなる真実」よりも、「快い娯楽」を求めているのだから。


アメリカのトランプ大統領と北朝鮮のカリアゲ君の双方による「瀬戸物外交」、違った、「瀬戸際外交」も、、「出来ればトランプが北朝鮮にミサイルを落として叩き潰してくれ!」と願うのも、日本人の「娯楽」なのかもしれない。口では「北朝鮮、恐いですね~」と言いつつも、本心は違うかもしれないですね。

アメリカと北朝鮮の間で戦争になれば日本にも北朝鮮のミサイルが落ちて多くの人間が死ぬことになるのに、「自分の郷土や家にミサイルが落ちて死ぬ」とは想定しない…それが娯楽的な発想なのでしょう。





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2017.08.15 | | コメント(2) | トラックバック(0) | 未分類



コメント

真実なら、受け止めます

概ね、賛同しますが・・・

“「胸が悪くなる真実」よりも、「快い娯楽」を求めているのだから。”
・・・はどうですかね?
比べるもんじゃないような気がします。

真実に至った・・・と、少なくとも自分で思えるまでは、
胸が悪くても、追求したい。

これは、小学校の作文集に、
“戦争で死ぬなら、 戦争を始める人間を殺しに行きます。”
・・・と書い(てちょっと問題になっ)た頃から、基本は、変わってませんね。
まだまだ、傷痍軍人さんなんかが、詐欺まがいの事をしながら、
放浪している姿を見た世代なんです。
(まぁ、薩摩の辺境の地では、多少時間の流れは異なる・・・
 という指摘もありますが。)

だまされると、騙された自分が不愉快になる。
これは、私にとっては、胸が悪いどころの騒ぎじゃないもんねぇ。

もちろん「快い娯楽」も好きですよ。
多分、人並み以上に。

2017/08/15 (火) 09:01:30 | URL | しっぽがない・・・ #- [ 編集 ]

Re: 真実なら、受け止めます

>比べるもんじゃないような気がします。

なるほど。おっしゃる通りかもしれませんね。

>だまされると、騙された自分が不愉快になる。

これ、分かるような気がします。

騙した相手よりも先に、自分に対する情けなさに崩れ落ちる思いがしますね。

娯楽の世界であっても、例えば、ミステリー小説でトリックに騙されると、自分に腹が立ちますよ(^_^;)

2017/08/15 (火) 09:33:10 | URL | 片割月 #- [ 編集 ]

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Author:片割月
和歌を愛し、音楽を愛し、花を愛し、フィギュアスケートが大好きで、歴史・社会・文学が大好きで、ジョン・レノン、八代亜紀、ちあきなおみが大好きで、クリント・イーストウッドと映画も好きで、皮肉とユーモアも好きな変わり者アラフォー熟女ですが、よろしくお願いします。
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